2007年2月下旬


2/28(水)……バリ安で広いんす

▼日記更新遅れですでに何日か前のことになっちゃってますが、OHP月極アンケートのテーマ入れ替えについて。2007年3月のテーマは「シブい漫画」に。「これぞオトナの味」といった感じのシブい漫画のオススメを挙げたり、語り合っていこうといったアンケートです。投票見てても「シブい」の解釈が人によってまちまちで、「ちょいと難しくなっちゃってるかな?」という気はしますが、まあこれは予想の範囲内。最近ますます浸透と拡散が進んだ「萌え」系などとは対極にあるような、シブめな作品がいろいろ出てくるといいなあと思っております。

 2007年2月「文科系部活漫画」は締切。やはり1位は根強いなあということで「究極超人あ〜る」。このテーマだと「あ〜る」が圧倒的かなあと思っていたら、「菫画報」が1票差と健闘。あと現在連載中の作品としては柏原麻実「宙のまにまに」が来た。そのほかの期待株といえばまだ単行本にはなってないけど、書道部漫画の河井克敏「とめはねっ!」ってとこでしょうか。けっこう多彩な作品が挙がってきて良かったんではないかと思います。

 あと部活ではないんだけど、「生徒会」「委員会」モノについては含めても良かったかもしれません。部活ではないけど、「体育会でない」「学園で学業以外の活動を行う集団」という意味では共通するものはあるので。それと「応援団」「チアリーディング部」といった半体育会系的な部活はちょっと悩むところ。明らかに文科系ではないものの、「スポーツ漫画」というくくりでは挙がってきにくい領域。生徒会・委員会モノについては「学園モノ」というくくりなら名前が出てくるだろうけれども、応援団・チアリーディング部については部活色が強すぎて、学園モノという感じでもない気がする。ちょっと難しいトコですな。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 4月号 少年画報社 B5平 [Amzn]

 大石まさる「水惑星年代記」が2本同時掲載。明るく奔放で気まぐれ、絵を描くのが大好きな変わり者の姉と、顔はそっくりだけど地味でもの静かで可憐といろんな面で似ていない双子の妹。この二人の日常をほのぼのと描いていくという内容で、女の子たち二人のかわいさが魅力の2話。天然な姉としっかり者の妹のコントラストが見てて楽しいし、ちょっと恋愛がらみでごちゃごちゃするも、結局すごく仲良しさんな二人の様子が実に微笑ましい。オムニバス形式ということで、毎回とても自由に描いてますなー。大石まさるのいろいろな魅力が楽しめる。

 石黒正数「それでも町は廻っている」。今回は歩鳥がまだちっちゃかった10年前のお話。歩鳥になんかいろいろ教えてくれる亀井堂のおねーちゃんが、眉毛太めで垂れ目気味、落ち着いた良い雰囲気を醸し出している。石田敦子「アニメがお仕事!」。今回はソバカスめがねフリルアニメーターののんのさんがメインのお話。片想いは叶わぬままだけど、彼女も少しずつ前進している。なかなか好ましい女子だし応援したくなります。あと山東ユカ「ヒミツの保健室」は今号で最終回となっている。

 おがきちか「無限☆ミートランプ」は、ランプの仲から出てきたでぶちんなランプの精と、それを呼びだしてしまっためがねっ娘女子高生のほのぼのラブコメといった感じの作品。大人しそうだけど独特のマイペースで行動する女子高生さんが見てて楽しい。彼女が恋に落ちちゃうあたりは唐突っちゃ唐突だけど、ほのぼのとして、すっきり甘い味のある作品に仕上がってるんで、そこはまあオッケーといった感じ。後味良くまとまってると思います。

【雑誌】コミックバーズ 4月号 幻冬舎コミックス B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 玉置勉強「ねくろまねすく」。なんだかほのぼのしておりますなあ。不死者になった主人公男子と、彼を拾った女の子2人組。アンデッドの物語なんだけど、3話めにしてみんなでこたつでウダウダしてたりして、「東京赤ずきん」と比べるとずいぶんゆる〜い内容。まったりほのぼのしてるし、ちょっとラブコメっぽかったりもして、けっこう楽しくはあります。猫橋俊雄「まおうちゃんクロニクル」は連載2回め。頭身の低いぷにぷにキャラは完成度が高くて今回もかわいい。キャラは魅力的なんで、お話が面白くなってくると良いです。

 あびゅうきょ「絶望帝国の攻防」。いよいよ絶望男性たちが追い詰められ、フェミファシストたちに対して戦いを挑むようになってきた。影男もその中で役割を与えられ、何か目覚め始めている様子。今回は画面密度がすごく、テンションもかなり高かった。この闘争がどのような終着点へと向かうのか。先行きに注目したい。

 新連載、作:上遠野浩平+画:秋吉風鈴「メモリアノイズの流転現象」。探偵業を営んでいる男が田舎の豪家をめぐる事件の調査を依頼され、思わぬ大事件に巻き込まれていくか……という出だし。まだ出だしも出だしなんでどういう内容になるかは分からないけど、作画は整ってて品が良い。うめ「大東京トイボックス」。新人ゲーム屋モモが、迷走しまくった後、開き直ってようやく復活。「ゲーム作りたい」というアツさが感じられて、なかなか良い具合でした。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/14 No.13 小学館 B5平

 畑健二郎「ハヤテのごとく!」。最近カラーページになることが多いけど、今回も扉ページがカラー。温泉に到着するも、あえて入浴シーンはなし。来週はあるかな? 鹿賀ミツル「ギャンブルッ!」は、ベビーフェイスな主人公・マサルの暗黒面がだいぶ出てきてて面白くなりつつある。今回は学校内ギャンブルでもその才能を見せつけるって感じかな。やるとなったら容赦なさそう。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/14 No.13 講談社 B5平

 昨年の7/19 No.31に読切掲載された佐藤友生「妖怪のお医者さん」が連載に昇格。妖怪たちの病気を治す医者をやっている少年・護国寺黒郎と、ちょっと霊感のあるクラスメート女子・春日琴子の2人が織り成す、妖怪モノのコメディとかアクションとか、って感じの作品。主人公が妖怪のお医者さんなんで、ストレートに妖怪退治って感じではなく、アクションとかはやりつつもほのぼの感もある……といった感じ。あっさりした整った絵柄で、女の子キャラとかはわりとかわいく描けている。まあまあイケると思うけど、あとはどれだけ独自のウリが作れるかってとこでしょうな。妖怪退治系、「もっけ」的な日常モノ、ラブコメと、いろいろな方向に振りようのある設定なので、うまく進めていってほしい。

【雑誌】スーパージャンプ 3/14 No.6 集英社 B5中

 大河原遁「王様の仕立て屋」。ペリーニ伯爵の依頼でオリベが本格的なスーツを仕立てる編は今回で一段落。この巻はオリベが特急仕事だけでなく、職人たちを使ってちゃんとした仕事を行っていく様子を丁寧に見せていて読みごたえがあった。仕立てに関するうんちくをふんだんに盛り込みつつも、力を抜けるギャグっぽい描写が適度に織り交ぜられているので、読みづらくなることもない。派手ではないけど安定して楽しめる良い作品。宮下あきら「暁!!男塾」は、江田島塾長大活躍の瑪羅門寺編が完結。最後はけっこう馬鹿馬鹿しいノリで締めくくり。こういうサバサバした細かいことにこだわらないところはやはりいいですね。

 あと今号では「実録鬼嫁日記」の漫画版を描いたイトカツの読切「女王陛下の紅茶」が掲載。鎌倉の町外れにある、紅茶専門の小さな喫茶店が、訪れたお客さんに癒しのひとときをもたらす……ってな内容。親しみやすい雰囲気の絵柄は「鬼嫁日記」と同様の調子だけど、今回は内容に合わせて絵柄はちょっと大人っぽく調整してきている。スーパージャンプは職人モノの作品が多いけど、これもその系譜に連なる作品。作者もあとがきで「ぜひ連載に!よろしくお願いします。」とかいてるけど、連載に向いた作品ではあると思う。

【単行本】「キミキス −various heroines−」1巻 東雲太郎 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 待ちに待ってたという感じの第1巻。にゅーあきば.comのレビューでも、連載100回めで取り上げたけれども、これはやはり素晴らしいと思う。近年のギャルゲー系、といわず萌え系のラブコメ作品の中でも相当上のほうにランクする作品に仕上がっていると思う。

 お話のほうは、「キス」にこだわった学園ラブコメという感じで、主人公の光一くんと多彩なヒロインたちの恋模様が描かれていくというもの。東雲太郎といえば「Swing Out Sisters」で、エロ漫画方面で一気にブレイクした人だが、その勢いそのままにメジャー系も席捲。東雲太郎の、キレが良くて爽やかさで、なおかつミルクのような滑らかさも兼ね備えた絵柄の魅力は、舞台を移しても健在、というかますます輝いてる。お話の内容にもバッチリ合っていると思う。

 第1巻では、光一とその年上の幼なじみ・摩央姉の恋模様が描かれていくのだが、これがもう実に甘ったるい。光一をモテる男にしてあげる、といって摩央が彼をチェックしていくというふうにお話は進行していくんだけど、そのトキメキ感は尋常でない。触れ合う機会が増え、キスを重ねていくにつれ、恋心が盛り上がっていく様子はむせ返るような甘さに満ちている。最初の膝小僧へのキスや、プールの回での指フェラなどがたいへんエロっちく、そこがおおいに話題を呼んだりもしたけれども、ラブコメとしての密度、ボルテージの高さも大したもの。じりじりと温度を高めていく手管、瑞々しくてトロけるような感触にたちまちヤラれてしまう。

 あと摩央姉ちゃんが女の子として実に魅力的に描けているのも素晴らしい。お姉さん風を吹かせつつも、実は自分も恋愛経験が豊富なわけでなく、キスやら何やらのたびにドキドキしまくっている様子に胸がキュッとくる。摩央姉編の締めくくりも甘くて爽やかで、なんとも好ましいものがあった。お話的にゴール地点に設定されてるのが「キス」だってのもいい。エッチとかまで行かない分、初々しさ甘酸っぱさがより鮮烈に映るし、そこに至るまでの過程もじっくり描かれたものとなっている。本作の漫画化に当たって東雲太郎を起用したのは大ヒット。東雲太郎は「Swing Out Sisters」で長足の進歩を遂げた感があるけれども、この作品ではまた漫画うまくなったなあと感じる。天晴れ、であります。

【単行本】「夏のあらし!」1巻 小林尽 スクウェア・エニックス B6 [bk1][Amzn]

 「スクールランブル」の小林尽がガンガンウイングで描いている作品。夏休みを利用して田舎の祖父の家に遊びに来た少年・八坂が、その地にある喫茶店でものすごく美人のおねーさん・あらしに出会う。彼女は人なつっこいけど不思議な雰囲気の持ち主。それは彼女が過去から来た存在だからだった……ってな感じで、一夏の不思議な物語が始まっていく。女の子さんはかわいいが、ちょいとノスタルジックな雰囲気を感じさせるジュブナイルとなっており、「スクールランブル」とはまた違った触感。基本的に日常は楽しいけれども、ちょっと切ない展開も見られるようになってくるかな? 今のところ作者が好きなように描いている感じで、「すごく面白い」となるかはちょいと微妙なライン。「スクールランブル」と比べると地味めなところもあるし。ただうまくハマれば良い作品になりそうではあるので、今後の展開に期待といったとこでしょうか。

【単行本】「ピコーン!」 作:舞城王太郎+画:青山景 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 「SWWEEET」を描いた青山景と舞城王太郎のコンビネーション。表題作である「ピコーン!」は「SWWEEET」の前に描かれた作品。主人公の女の子が毎日フェラチオをしてあげていた恋人が、ある日無残な死体となって発見され、その現実をにわかには受け入れられないでいた彼女が、その死の真相に迫る……というのが大まかなストーリー。舞城王太郎のエネルギッシュなお話が、瑞々しい青山景の作風と相まって、けっこう面白く読める作品に仕上がっていると思う。

 また「ピコーン!」のほかに、描き下ろしで「スクールアタック・シンドローム」も収録されている。こちらは働かない父親と、ひねくれて不穏なことをノートに書き散らしたりしている息子の物語。こちらもまずまず悪くない出来。青山景はけっこう良いものを持ってる人だと思う。あんまりコジャレた感じやパサパサ乾いた作風にはならないで、直球勝負できる人材に育っていってほしいところではある。

【単行本】「鏖 みなごろし」 作:阿部和重+画:三宅乱丈 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 バイト先の店からロレックスの時計をチョロまかした男が、それが元でヤクザまがいの店長から追い込みをかけられ、どんどん切羽詰まった状況になっていく……という物語。その過程は息苦しくて緊張感がある。ただ三宅乱丈にしてはちょっと大人しめかなあ。この人の原作モノは何本か見たけど、やっぱ本人オリジナルの作品のほうが面白いと思う。まあそれが売れるかどうかはまた別問題ではあるのですが……。

【単行本】「宇宙家族ノベヤマ」1巻 岡崎二郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 日本のごく平凡な家族が、地球外の文明と接触するという使命を与えられて、宇宙の旅に出るという物語。まあタイトルどおり宇宙家族モノなわけだけど、岡崎二郎らしい落ち着いた味のある作品になっていて、けっこう面白い。

 ノベヤマ一家は、お父さんが仕事の虫で家庭をほったらかしにしていたこともあって、物語の開始時点では家族がバラバラになりかけな状態。それが宇宙へ出て力を合わせて行動するようになって、家族の絆強まっていく。そういったホームドラマ的な部分が、本作品の面白みとしてまず一点ある。それからSF的な要素がもう一点。ノベヤマ一家と、宇宙船のそのほかのクルーの御一行は、宇宙を旅していくうちにいくつかの文明と接触していく。その中で、異文明がもたらすものの取り扱い、文明同士の対立がどういう形をとっていくのかを考えていく過程はなかなか興味深いものがある。

 派手さはないけれど手堅く、味のある物語を構築していると思う。今後ノベヤマ一家がどうなるのか、異文明との接触、先進テクノロジーの受容といった問題にどういう答えを出していくのか。先の展開が楽しみ。

【単行本】「ライフ・イズ・デッド」 古泉智浩 双葉社 A5 [bk1][Amzn]

 「セックスすると感染する」ゾンビ病が蔓延した社会を舞台にした物語で、主人公はゾンビ病に感染者の少年。このゾンビ病はエイズのような感じで、感染してもすぐ発病するわけでなく、軽症であれば普通に生活することも可能。しかし重度になると完全にゾンビ化して、まともな意識はなくなり人間を襲うようになる。「発症したらもう先がない」という状況の中で、主人公は悩み苦しみつつ、日常を送っていくことになる。

 というわけでゾンビものではあるのだけど、お話は一般的なゾンビ退治とかにはならず、むしろ闘病モノ的な感じで展開。古泉智浩らしく主人公はニートキャラ。ゾンビ化=死を前にしていても、別段珍しいことができるわけでなく、趣味でヘンな歌を作ったり、ゲームやったり、AV見たり。そんな日常の様子は地味で馬鹿馬鹿しくもあるのだが、回が進むにつれてやっぱり切なさも増してくる。

 こういう状況だったら十分あり得る、というかエイズという形で現実にあるわけで、その分生っぽい手触りがある。古泉智浩はこれまで作品内で死をダイレクトに扱うのは避けていたそうだが、トボけているようでシリアスでもあるお話はけっこう読みごたえがあった。けっこういろんなお話描ける懐の深さがあるなあと感心させられもする。


2/27(火)……魂を売る腑甲斐なさ

【雑誌】コミックアライブ 4月号 メディアファクトリー B5平 [Amzn]

 作:阿智太郎+画:まだらさい「陰からマモル!」は、新キャラ、雲隠ホタルが登場。これでマモルを取り巻く主な美少女は勢ぞろい。転校生としてやってきたホタルが、いきなりマモルに告ってきて、皆さん騒然。展開的にラブコメ度も高まりそうだし、まだらさいの絵はたいへん達者だし、やっぱり読んでて楽しいなあ。國津武士「神ぷろ。」は安定してかわいく楽しい。今回は女の子数も多くてたいへん賑やか。鏡の前でかわいいポーズの研究をして、それを目撃され恥ずかしがりまくる刀鳴の様子が面白いです。 次号は新キャラ登場で新展開らしい。井ノ本リカ子「モモタノハナ」は今回休載で、次号予告にも載ってない。ポプリクラブとの同時連載はやっぱ難しいのかな?

【雑誌】電撃コミックガオ! 4月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 作:柴村仁+画:松風水蓮「我が家のお稲荷さま。」がスタート。由緒ある司祭の家に生まれた少年たちを守るべく、狐の妖怪が人間の娘さんの姿になって活躍するといった感じのお話。まずまずまとまっているが、この手の雑誌としてはよくあるタイプの作品ということで、あんまり新鮮味はないかな。もう少し特徴的な部分がなんか出てくるといいんだけど。

【雑誌】イブニング 3/13 No.6 講談社 B5中

 青木幸子「ZOOKEEPER」。チーターを思いっ切り走らせるにはどうすればいいかということで、チーター舎および香也が出した解答とは……という種明かしの回。確かにこれは実際にあったらけっこう面白そう。いつもながらしっかりとした漫画を描いていて面白いなあ。香也だけでなく、ほかの飼育員のキャラも立ってきてるというか、印象に残るし。石川雅之「もやしもん」は、扉ページに「近々何か発表します。」とある。アニメ化とかですかねえ。

【雑誌】ヤングチャンピオン 3/13 No.6 秋田書店 B5中

 平井和正「ウルフガイ」が漫画化ですか。漫画を担当するのは脚本:田畑由秋+作監:余湖裕輝に、実際の作画を行う泉谷あゆみ。絵柄的にはいつもの田畑+余湖コンビのものとあまり大きな差はない。そういえば「ウルフガイ」シリーズは名前は知ってるけれども、実際には読んだことなかった。漫画化の腕前のほうは問題なさそうなんで、この機会に楽しめればいいなあといったところ。松本タカ「ナニワのコッチー」は今回もラブコメとして良い感触。ヒロインの乃恵が主人公コッチーとちゃんとつき合うようになって、ずいぶんかわいくなってきた。あと一智和智のアマレス漫画「ヒメレス」は、今号で最終回となっている。

【雑誌】漫画サンデー 3/13 No.10 実業之日本社 B5中

 作:倉科遼+画:みね武「艶恋師」。旅先で出会った居酒屋の女将と知り合った菊之介は、しばし彼女の店で厄介になることになり、女将の息子さんにも「パパ」と呼ばれてなつかれるが……といった展開。これまでのススキノ勝負と比べるとだいぶ地味ではあるけど、なんかまた派手に面白いことやってほしいところではある。

【雑誌】コミック・ガンボ 2/27 No.7 デジマ B5中

 新連載、作:香川まさひと+画:木村直巳「朧」が開始。目が不自由で不気味な雰囲気をその身にまとった怪しげな女子高生が、さまざまな人々のもとを訪れ、怖い話を収集していく……という内容。作者2人は週刊漫画サンデー連載「観察医ドクターあさがお」のコンビ。実績のある人たちだけに安定感があって読みやすい。ただ怪談モノとしてのインパクトはもう一つか。路みちる「ぼうえいにっき」は、かわいい絵柄でほのぼのしつつ、ちょっとシュールなこともやっている。かわいさとシュールさを伸ばしていければまずまずイケるかな。

【雑誌】キャンドール 4/12 実業之日本社 B5中 [Amzn]

 すえひろがりと西野映一の新連載がスタート。すえひろがり「花のいろ」は、先輩女子に憧れて学校の映像研究会に入った後輩女子が、その先輩によってエロいことをされるという百合系の漫画。その学校は元々は女子校で、映像研究会では女の子同士の愛の営みを映像として残すという伝統があり、先輩はそれを忠実に受け継いでいる。わりと気楽な感じでお話を進めているけど、今後はどういふうになるのかな? まあそれはともかく女の子同士のからみはしっとりしてて、なかなか良い具合ではあります。

 西野映一「ひめゆら」は、地殻変動で沈みつつある島で、やりたい盛りの少年と、謎の少女が出会いまずイッパツ。少年はこの謎の女の子に依頼され、島に住む3人の少女たちを籠絡することになるが……といった感じの内容。「ニューフェイス」とあるけどこなれた作風で、わりとまったりムードのある作品。まずまずの滑り出しといったところでしょうか。

 中田ゆみも新シリーズ「奥さまは生徒会長」を開始。元気者の生徒会長女子が、ある日突然副会長である主人公のところにヨメとして押しかけてきて……というところから始まるドタバタエッチラブコメといったところ。生徒会長さんが明るくハツラツとしててなかなかかわいい。ラブコメ的にもけっこう期待できそう。そのほかでは、まだ子「その距離48h」が良かった。2日違いで先輩後輩に分れてしまっていた美術部の少年少女が、ちょっとしたきっかけでまたくっつく。この人の滑らかでこなれた絵柄はやっぱり魅力あります。やっぱこの人の作風は、エロとかラブコメとかと相性がいいみたい。

【単行本】「アワヤケ」1〜2巻 羽生生純 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 羽生生純の最新作は、濃厚でぶっ飛んだ家族モノ。売れないイラストレーターである淡谷家の父親が、家族をまとめるべく家を買うのだが、その家に住んでいるうちに家族の心はどんどんバラバラに。それは日を追うごとに、夫妻と娘1息子2の家庭がまさにしっちゃかめっちゃかになっていく。その模様をしつこく描いていくダークなホームコメディといった感じの物語。

 淡谷家は最初のほうはまだ平凡な家庭といった感じなんだけど、これが回を重ねるごとにヤバい状態になっていく。とくに父親である淡谷大惨事は、家族がうまくいかないこと、昔の仕事仲間が大出世したことへの嫉妬などなどが原因となって、ものすごい勢いで暴走の度合いを強めていく。家族の人たちも、羽生生純キャラらしくみんなクセがありまくり。ストレスのあまり暴力方向に突っ走っていく妻、性的な倫理観がまったくない娘、イジメられっ子気質の息子、何考えてるんだか分からない弟……と、家族の団欒を形成するには、あまりにも不向きな奴らばかり。それを無理に家族の型に当てはめようとするもんだから、無理が生じて家族は崩壊状態に。

 まあそんなわけでかなり混沌としたお話なんだけど、全体的には妙なテンションのギャグにもなっていて、やはり強烈なインパクトがある。イカれた家族のイカれた所行を観察するのがタイヘン楽しかったりする。どう踏み違えるとこうなるのかなあ、って感じのカオスっぷりが圧巻。「このままの調子でイカれていったらどうなってしまうんだろう」と興味をそそられもする。やっぱり羽生生純の漫画は強烈に濃いです。

【単行本】「淫虐監獄島」 氏賀Y太 松文館 A5 [Amzn]

 氏賀Y太といえばやっぱり残虐描写。といってもこの単行本については臓物まき散らし系のネタは、この人にしてはかなり少なめ。監獄島に送り込まれた女性エージェントのアイスが、所長や囚人たちに犯されまくる「アイスクリーム」全6話を中心に、「猿鳩先生の止事なき授業風景」「「世界の中心に咲く花」「時限童貞」を収録している。

 この単行本では、メインとなる「アイスクリーム」のヒロイン・アイスが、ヒドい陵辱を受けるけど別に血みどろになったりしないし、ラストもギャグ調ということで、まあそんなにグロくない。というわけで氏賀Y太初心者でも比較的読みやすい単行本になっているといえるのでは。「世界の中心に咲く花」「時限童貞」あたりは血みどろなシーンもあったりするけれども。

 この人の描く残酷漫画は、いつもすんげえヒデーことばかりやってるんだけど、読んでいるとなんかだ妙にスカッと気持ちいいものがある。残虐なんだけれども、突っ走りまくっている分、陰湿な感じはしないし、けっこうジョークも利いている。駕籠真太郎とはまた違った感じで、楽しく残虐描写をしていると思う。

【単行本】「ぐんぱんSPECIAL 飼育 巨乳母子相姦集」 ぐんぱん 司書房 A5 [Amzn]

 かなり久しぶり感のあるぐんぱん(白井薫範)の新刊。相変わらず、っていうかますます濃いなあ……。もともと太め、っていうかデブい女性を徹底的に辱め、調教していく作品を得意としていた人ではあるけど、この単行本はそれがさらに極まっている感じ。

 最近のエロ漫画家でも、太めの女の子を描く人は、きのした順市とか何人かいるけれども、こういうった人たちのは基本的に「肉付きが良くてかわいい」という感じでけっこう萌え度は高い。ぐんぱん先生のはそういうのとは一線を画していて、ヤラれるのは基本的におばさん。年もけっこういってるし、あくまでも怠惰な日常の中で肉がたるんで鈍重になったっていう感じのスタイルで、熟れてはいるけど萌えというにはちょいと……ってなかんじのオバハンばかり。顎や首周りをたるんだ肉が覆い、腹や腰もだっぷんだっぷん、尻も足も不格好に太い。そんなオバハンたちが、ハードな調教を決められてブヒブヒよがる。そんな作品ばかり。

 というわけでもう、内容のほうは一読しただけでゲップが出るほどに濃厚。「コレでヌケるか」と言われたら、「そういう趣味の人ならヌケるだろう」としかいえない。自分はキビしい。でもこの圧倒的な濃さ、「とにかくデブい女を犯しぬくさまを描く」ことにこだわる情念の迸りは、「スゴいもの見たい!」という人には一読の価値あり。こういう特殊な作品が載るような雑誌がまた出てきてほしいもんですが……。


2/26(月)……高所怖いか

▼23日あたりから月末にかけてはただでさえ出る雑誌・単行本が多いのに、2月は日数が少ないから、短期間でもりもり買う必要がある。まあ生活必需品ではないので買わなきゃいけないってわけでもないけど、毎年この時期は苦労させられます。でも最近はネット書店を活用すれば荷物は減らせるんで、ある程度は負担が緩和されはしましたな。

【雑誌】少年エース 4月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 作:乙一+画:清原紘「きみにしか聞こえない」が新連載。6月16日に実写映画が公開される予定の作品。友達がいなくて携帯電話は持っていないけど、携帯ライフに憧れを抱いてやまぬ少女が、頭の中に想像上の携帯電話を作る。それが日を追うごとにリアルになっていき、ついにはその電話が鳴り、他にもいる脳内携帯電話の持ち主と話ができるようになっていく……といった内容。何気にぶっ飛んだ設定という気はしなくもないんだけど、お話的にはこれからの展開しだいかな。作画はシャープでまずまず悪くない印象。

 新連載もう1本。竹内元紀「シスター・ルカは祈らないで!!」。教会のシスターさんとかを主役に、ちょいエロネタの会話ギャグをかましていくというお話。まあテンポ良く下ネタを盛り込んでいく内容は、まあいつもと一緒。別の話を読んでる感じがしないくらいのいつもどおりっぷり。

 まりお金田「セイビング・ライフ」は最終回。女の子がいっぱい出てきてみんな主人公にラブラブ、家族もこれまた主人公にラブラブ。まあ最後までずっとお気楽に、おめでたく締めくくった。下らないけど華やかで良かったんじゃないでしょうか。個人的にはけっこう楽しんで読んでました。桂明日香による漫画版「BLOOD+」も最終回。なかなかキレイに締めくくられていたと思う。アニメ版は途中で見るのやめちゃったけど、漫画版はまとめて読んでみようかな?

【雑誌】ガンダムエース 4月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 大和田秀樹「隊長のザクさん」は相変わらずいい味を出してて面白い。ザクレロママが実にいい女っぷり。「哀・戦士」はやっぱ名曲だなあ。しみる。ザクレロママ版「哀・戦士」は実際に聞いてみたい気がしますね。あとギャグ系では、左菱虚秋「ガンオタの女」が最近好調で楽しみ。ガンオタOLの賀ノ多さんのマイペースな振る舞いが見てて楽しい。そのほか今号では、久織ちまき「ガンダムSEED DESTINY THE EDGE Desire」がけっこう切なくて良い感じだった。SEEDはまったく見てないのに言うのもなんですが。

【雑誌】コミックガム 4月号 ワニブックス B5平 [Amzn]

 新連載、流木念「狩霊士」(原案:高岡佳昭)がスタート。人間にとりついた霊を狩る能力を持っているが主人公が、その力で霊を祓うも、副作用で相手がエロエロになっちゃって好きなコには誤解されるし困ったにゃーというドタバタもの。初っぱなからサービスシーンばっかりで煩悩全開なあたりはガムらしい。少し下品な気もいたしますが、絵については滑らかな質感でまずまず好みな部類かなーといったところ。

 あと次号では、桑田乃梨子「豪放ライラック」が最終回でちと寂しいが、かかし朝浩「暴れん坊少納言」が再登場。さらにパニックアタック「大人になる呪文」が引っ越してくるとですかー? これは嬉しい。

【雑誌】月刊少年シリウス 4月号 講談社 B5平 [Amzn]

 光永康則「怪物王女」のアニメ版のキャラクターデザインが掲載されてるけど、うーむ、正直いってちと不安……。なんだか塗りが安い。姫様はもう少し色白にしたほうがいい気がするんですが。

 今月号で気になったのは、第5回シリウス新人賞入選作、tono「アナスタシアの親衛隊長」。ロマノフ王朝の最後の生き残りであるアナスタシアと、彼女をただ一人守ろうとした親衛隊の見習い兵士の物語。ちょいとクセのある絵柄だが、アナスタシアと主人公兵士・ザイツェフにかわいげがある。中村明日美子を柔らかくしたような感じ。お話のほうもけっこう読ませるものはある。あとどうでもいいんだけど、このペンネームはすでにTONOがいてまぎらわしいんで、この先もやっていくにはちょいといくないかなーと思ったりもした。

 秋山明子「LOBOS」。新連載。戦国の世の陰で活躍する傭兵集団の物語。今回は戦国大名の時期当主を決める試合のために駆り出された、鉄砲衆のあんちゃんのエピソード。絵柄は品が良くて好感が持てるし、アクションシーンにも爽快感がある。なかなかよくできた作品に仕上がっており、今後にも期待が持てそう。あと今号から、作:あさのあつこ+画:いーだ俊嗣「テレパシー少女蘭」が新シリーズ「私の中に何かいる」に突入している。

【雑誌】ヤングマガジン 3/12 No.13 講談社 B5中

 佐能邦和「天然華汁さやか」が復活して本格連載に。ムチムチした作画がパッと目を惹く作品で、雑誌におけるお色気注入、賑やかし的な役目としては打ってつけ。ただ個人的にはもう少しお話としての面白みが出てくると良いと思うんですが……。作画レベルは悪くないので、今のポジションで止まってしまうのはちともったいない。これはオジロマコト「カテキン」にもいえることなんだけど。あと今号は平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」がかなりエロいネタでござった。チュパ音をマスターするべくゲンさんに弟子入りする声優さんのお話。

 村田ひろゆき「元好色哀歌バレーボーイズ」。今号も重たい。谷口母の末期ガンの症状がいよいよ進行。せめてもの慰めということで谷口は母を家に連れ戻すが、それがまた悲劇を招きそうで……。ここのところの展開は、あのバレーボーイズとは思えないほどのヘビーな内容。かつてはお気楽にエロネタばかりやってた作品だけに、その落差もあって、余計にズーンと来るものがある。今ヤンマガで一番気になる作品。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/12 No.13 小学館 B5中

 真鍋昌平「闇金ウシジマくん」。今回取り立てのターゲットでなるであろう、鬱ブログをやってるニートな人と、出会い系ギャルとのちょっといいお話。この作品にしてはけっこうハートフルな内容だった。このニートあんちゃんはやってることはホントーにしょうもないけど、どこか憎めないところはあるなあ。

 作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。とにかく腹がはちきれんばかりの怒涛の勢いで料理を出しまくった長崎対決が決着。どっちが勝ってもおかしくない内容だとは思ったけど、いかにも雁屋哲っぽい理屈で勝敗がついた。ていうかこの勝負って、味を競ってるんだか、理念を競ってるんだか、もうさっぱり分かりませんな。いや別にそれが悪いとは思ってはいないですけどね。「美味しんぼ」はこれでいい。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/12 No.13 集英社 B5平

 暁月あきら「神力契約者M&Y」が10話で最終回。女性キャラはわりとかわいかったんだけど、正直なところお話は全然頭に残らなかったなあ。やはり妖怪退治系はジャンプでは食傷気味だし、作画もちょっとまとまりが良すぎる印象で、もう一つ外に向かって爆発してくるようなパワーは感じなかった。悪印象はないんだけど、取り立てて突き抜けた点もなく、ちょっと行儀良くやりすぎたかなあといった感じ。

【雑誌】漫画ゴラクネクスター 4月号 日本文芸社 B5中

 巻頭カラー4Pできくち正太「それがどおした」が掲載。雨に濡れてたたずむ不二家のペコちゃんに同情したのか、大工の頭領のおっちゃんがそれを家に持っていく……という内容。まあ気持ちは分からんでもないが……という感じではあるけど、これは普通に窃盗のような気がする。まさにタイトルどおり「それがどおした」ってな感じの漫画だった。由起二賢「サザンクロスの誘惑」は2回目。なんだかよく分からないが意味もなく濃い。調査捕鯨船に乗り込んだテレビ制作会社のおっさんが、船上で船医を相手に性悪説と性善説どっちが正しいかと議論するシーンとか、むやみやたらとセリフが長くてとにかくクドい。絵もクドい。でもその過剰さに、妙に引き付けられたりもしてしまう。この先どんな作品になっていくのかまったく予想がつかん。

【雑誌】ヤングキング 3/19 No.6 少年画報社 B5中

 小池田マヤ「聖★高校生」。ジャンヌが父親と爽やかに決別。エピソードを晴れやかに締めくくっててなかなかええ感じでした。相変わらず読ませますね。新連載、奥嶋ひろまさ「SHOUT!」。喧嘩だけが取り柄の暴れん坊な主人公が、地下格闘場で行われている賭けバトル「SHOUT」に出場することになり、そこで戦っていくという路上格闘系青春ストーリーといったところ。作画的にはハロルド作石っぽいけど、元アシスタントの人かなんかですかね。

【雑誌】LaLa 4月号 白泉社 B5平 [Amzn]

 津田雅美「eensy-weensyモンスター」のラブコメ度がどんどん高まってきててなかなか良い感じ。フツーの女子高生である主人公・七花とおともだちになろうと、メッキのはがれた王子様男子・葉月がどんどん接近してくる。クラスが同じ、席も隣になって、七花は戸惑っているけれどもその距離は徐々に近づいている。見開きを使って、同じ事象を、右ページは七花視点、左ページは葉月視点で描いていくという構成が面白い。こういう大胆なページ使いは、実績ある人でないとなかなかやりづらそう。まだラブという感じじゃないものの、ほのぼのしてて微笑ましい。

 なかじ有紀「HEAVENカンパニー」。今回は連載のほうはお休みで読切での登場。観葉植物の配達・生成・メンテナンスを行っているお店の新進気鋭なあんちゃんと、その店のアルバイトの女の子のラブコメ話といった感じの作品。いつもながら予定調和ではあるものの、その分安心して甘ったるい内容を楽しめる。

 読切もう1本、ふじつか雪「あの日のきみへ還る」。サッカー少年と、いつも桜の木の下で読書していた女の子のボーイ・ミーツ・ガールな物語。上品な絵柄できっちりまとまっておりまずまず好印象。というわけで全般的には悪くないが、もう少しコマ割に一定のリズムがあったほうが落ち着いて読めるかなーという気はする。


2/25(日)……便覧と差が

▼すでにトップページにも書いてますが、1か月後の3月25日(日)、新宿ロフトプラスワンにて行われるエロ漫画についてのトークイベント「エロマンガ・スタディーズ Vol.1」に出ることが決まりました。ていうか今回は「メインでやれ」といわれておりまして、どうなることやら……といった感じです。内容としては、最近のエロ漫画事情について、いろいろ語るというふうになると思います。1月31日に行われた永山薫さんの単行本「エロマンガ・スタディーズ」発刊記念イベントのときは、時間が押しちゃって最近のエロ漫画については全然語れなかったのですが、今回は「今エロ漫画はこんな感じだ!」「この作品・作家が注目!!」ってなことをガッツリやっていきたいなと思っております。

 正直なところ、トークがうまいほうじゃないですし、業界人でもないので、知識面での偏り、浅さはありますけれども、なるべくエロ漫画好きな方に楽しんでいただけるよう、頑張ってやりたいと思います。主催の永山薫さんのページによると、イベントは3時間らしいですが、時間足りるかな? とりあえずネタは早いとこ仕込んどかないと……。まあそんなわけですので、ご来場のほど何とぞよろしくお願いします。

場所:新宿ロフトプラスワン(ホームページ
開催日:3月25日(日)
時間:会場18時30分 開始:19時30分
出演:永山薫、伊藤剛、芝田隆広
入場料:1000円(飲食費別)

【単行本】「ヴィンランド・サガ」4巻 幸村誠 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 アシェラッドたち御一行が王子様をゲット。彼を守りながらの極寒のウェールズの地を行く道中が描かれていく。ヒョロくて女の子みたいな王子クヌートとトルフィンの組み合わせがちょいといい感じになっているほか、アシェラッドの出自も語られ、だんだんとお話は動いてきた。相変わらずガッチリ骨太にお話を進めてて、しっかり面白い。あとはもう少し物語展開が速くなって、休載がなくなればってとこでしょうか。

【単行本】「爆音列島」10巻 高橋ツトム 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 リアル暴走族青春ストーリーも単行本二桁に突入。相変わらず暴走族の生っぽい暮らしが描かれていて興味深い。この巻あたりになるとすっかりタカシはゾクとして成長しているけれども、親が離婚して住み慣れた家を離れることになる、敵対するゾクにボコボコにされる、ヤクザとのトラブルも勃発ということで、タカシを取り巻く状況はかなり窮屈になってきた。このままゾクライフを続けていけるかどうかはここが正念場。彼がどういうふうな道を歩んでいくのか気になるところ。もうそろそろ卒業の時期も近づいているのかもしれない。

【単行本】「蟲師」8巻 漆原友紀 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 相変わらずの安定感で面白い。自然現象である蟲たちの起こす怪異を描いてはいるけれど、それをきちんと人間たちのドラマに落とし込んでいるところが素晴らしい。あと蟲たちを「自然にあるもの」ととらえ、善悪を決めつけるでなく、ありのままに接していこうというギンコのスタンスも見ていてしみじみくるものがある。自然描写もやはり良い。すごく巧みで美しいんだけど、それが前面に出張りすぎることがない点も好ましい。

【単行本】「乱飛乱外」3巻 田中ほさな 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 殿と柳生のお姫さまが出会い、柳生の跡継ぎを巡る争いに巻き込まれることに……ってな感じの第3巻。相変わらず達者な絵柄で、かわいかったり色っぽかったりするねーちゃんたちが活躍してて、ラブコメ的なこともやってて楽しく読める。まあ柳生編は、お姫さまのキャラがもう一つ弱いかなーという気はしましたが。

【単行本】「ディアスポリス −異邦警察−」3巻 作:リチャード・ウー+画:すぎむらしんいち 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 だんだん面白くなってきている感じが。不法入国者だけで作られた裏都庁をめぐって、外国人排斥をもくろむ日本人勢力や、不法入国者同士の闘争が繰り広げられる。今回は主人公・久保塚は拉致られてしまってそんなに活躍してないけど、元銀行員のデブ鈴木と助役のアーさんが活躍。とくにアーさんのスズメバチを駆使した戦いっぷりがユニークで、アクションとしてすごく面白い。また外国人や、裏社会日本人たちも怪しい味を醸し出している。うさん臭さとリアリティと絵空事っぽさのバランスがちょうどいい案配。

【単行本】「あまえないでよっ!!」7巻 宗我部としのり ワニブックス A5 [bk1][Amzn]

 無印「あまえないでよっ!!」はこれが最終巻。ワルモンによって逸剛の暗黒面が発動しそうになるも、例のピチピチした尼っ子たちが支えに。乳や尻などのサービス要素は盛りだくさんながらも、けっこう爽やかな味があるのが宗我部としのり作品の良いところ。お話的には舌足らずな部分が多いんだけど、まあそこに重点置いてる作品でもないし、物語面での弱さはさほど気にしないで読むことはできます。なおコミックガムのほうでは現在、続編である「あまえないでよっ!!MS(もあ&heartsすい〜と)」がすでに始まってます。

【単行本】「CLOTH ROAD」4巻 作:倉田英之+画:okama 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 「機械の布で織られた服を使って戦う」というアイデアを活用して繰り出されるアクションがダイナミック。okamaの絵柄だともう少し柔らかめな作品のほうが似合うかなってな感じはするけれども、展開される服のめくるめくイメージはさすがのokamaデザイン。これアニメにしたらカッコ良さそうだけど、TVアニメのリソースだとちと手に余りますかねえ。「巌窟王」みたいな感じで服を処理できれば面白くなりそうだけれども。

【単行本】「溺れるナイフ」5巻 ジョージ朝倉 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 ストーカー男による誘拐事件をきっかけに、夏芽とコウの輝かしい日々が完全に光を失う。誘拐事件のときに何もできなかったコウに対し、夏芽はそれまでの盲目的でさえあった信頼を失い態度を硬化。コウのほうも夏芽のことをしだいに避けるようになっていく。というわけでこの巻は息苦しい展開なんだけど、何かはハッキリとは分からないけれども光を求める夏芽の心情描写が切実で、グッとくるものはある。この後二人がどうなっていくか、どうにも気になる。やっぱエネルギーのあるお話だなあと思う。

【単行本】「キラメキ☆銀河町商店街」2巻 ふじもとゆうき 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 商店街の幼なじみ6人組の生活を楽しく描いた青春物語。明るくかわいらしい絵柄で、ドタバタあり、トキメキありでお話をハツラツと展開している。メインのミケ&クロ以外のキャラがちと弱く、6人組という設定がもう一つ生きていないかなあとは思うものの、全般的には楽しい一作となっている。あとこの巻には読切「STAND BY YOU」も掲載。ずっと一緒に育ってきた幼なじみ女子2人の別れの物語。片方が実は未来から来たことが判明し、仲良く暮らしてきた二人は離れ離れになることに。半身ともいうべき親友とのお別れの様子を、切なく暖かく描いたお話はしんみりした味がある。あとタレ目なヒロインさんがけっこうかわいいのも良い。


2/24(土)……青春SO BAD

【雑誌】アフタヌーン 4月号 講談社 B5平 [Amzn]

 作:中島かずき+画:浜名海「大江戸ロケット」が開始。お話のほうは、水野忠邦による天保の改革で奢侈が禁止されたお江戸において、各所でゲリラ的に花火の打ち上げをやっている花火職人の少年が主人公。そんな彼の前に月からやってきたという謎の女性が現れ、彼は月まで届く花火を作ることを約束するが……ってな出だし。今春よりアニメ版も始まるようだけど、ファミ通.comの記事などでアニメ版の絵柄を見ると、けっこうぷにぷにした明朗快活少年冒険アクションって感じだが、漫画はそれとはまったく雰囲気が異なる。浜名海の作画は木葉功一みたいな感じで、荒々しくもどこかスタイリッシュでもあるかっちょいいタイプの絵柄。画面作りもダイナミックで、冒険活劇として面白くなりそうな気配は漂っている。アニメ版の出来はどうなるか分からないけど、漫画版についてはまずは期待できそう雰囲気ではある。

 柏原麻実「宙のまにまに」。蒼栄高校天文部の皆さんが、近隣の高校の天文部で作る天文ネットワークというものに招かれ、その整った設備やら人員の豊富さに驚愕ってな感じの展開。登場キャラも一気に増えてすごく賑やかになった。恋愛方面も混戦の度合いが強まってまあいろいろ楽しそう。とりあえず姫ちゃん頑張れといったところでしょうか(←いつもそれじゃん)。

 あと今号では四季賞PORTABLEがおまけで付属。天野聡彦「ムスコはオヤジ」、円城寺真己「ある日、ウンコマンと俺ら。」、さだやすあゆみ「6時の男」が収録。まあまあではあるけど、今回のはちょっと小粒かな。この中では天野聡彦「ムスコはオヤジ」はテンポの良いドタバタギャグ漫画になってるんで、絵が上達すれば商業誌的には使い勝手の良い作家になりそうな気はします。

【雑誌】月刊IKKI 4月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 新連載、黒娜さかき「青春♂ソバット」がスタート。かつては女子高だったが共学になったばかりの学校に通う、数少ない男子のうちの2人がメインなボーイズラブ漫画といった感じ。BL方面には全然詳しくないので、知らない人だけど、どっかで読んだことあったっけかなー。わからんー。まあそれはともかく、ちょっと乾いた感じだが暖かみもあるシャープな描線による絵柄はスタイリッシュだし、お話のほうもくすぐりはありつつしっとりしててまずまず心地よく読めた。

 あと今号はオノ・ナツメ「さらい屋五葉」が表紙&巻頭カラーでボストカードブックレットも付いてるけど、雑誌全体としてBL方面を強めようとしてるのかもしれませんな。まあ固定ファンを多く抱えるジャンルではあるし、IKKI程度の発行部数の雑誌ならば有効な戦略とはいえるかもしれない。そういえば講談社のモーニング2もBL色のけっこう高い雑誌だったし、モーニングでもよしながふみが起用されるといった動きが最近は出てきている。これは大手出版社も腐女子層の取込みを狙うようになってきた、あるいは男性誌方面でもBL好きな編集者が、ある程度の影響力を持つようになってきたってことなんですかねえ。……などと少ない実例を元に語っちゃうのも早計な気はするんですが、

 カサハラテツロー「ライドバック」。今回はライドバック部復活に向けてがんばるしょう子たちの日常が描かれる。バイト先で学生会の窓口娘である下ぶちめがねっ娘と一緒になるのだが、この二人のぶつかり合いながらも案外ウマの合ったやりとりがなかなか楽しい。下ぶちめがねっ娘さんは、背はちっちゃいけどたいへん乳がデカくてなんだか素晴らしいお人だ。ただ読んでいてとても楽しくはあるんだけど、「普通の大学生はこんなにも平和で楽しく暮らしているのに、琳はあんなにも厳しいことになっているのだなあ」と、たいへん切ない気分にもなってくる。それと今回は、1ページを上下2段に分けたコマ割でずっと進む「紙芝居方式」(作者コメントより)を採用している。カサハラテツローによれば「携帯なんかで読むマンガに応用できるかなぁ」とのこと。こういう試みはちょっと面白いですね。

 作:桐野夏生+画:イシデ電「リアルワールド」は最終回。鋭さのある絵柄でちょっと気になる作品だった。単行本が3月30日ごろに上下巻同時発売らしいので、そのときにまとめて読んでみようかな。読切、飯田将基「メッセージ」。荒削りではあるものの個性的なペンタッチとかは気になる。コマ割に一定のリズムがないこともあり、スラプスティックな作品のわりにお話が頭に入ってきづらい点は改善の余地ありといった感じか。

【雑誌】アックス Vol.55 青林工藝舎 A5平 [bk1][Amzn]

 今号の特集は「幻の名盤解放同盟の25年」。あと第8回マンガ評論新人賞結果発表も行われている。

 福満しげゆき「生活」。天誅をやっていたグループがだんだん崩壊に向かっていく。ハンマーおじさんが襲われ、初期のメンバーたちの間の距離もだんだん遠くなっていって……といった具合でなんだか切ない。最初の思いつきが祭になり、それがだんだん自分たちの手を離れて一人歩きしていき、残された元のメンツたちは誰も知らぬ間にどこへともなく消えていく。すごくしんみりした。あとそれとは別の話だけど、ハンマーおじさんが襲われたシーンで、襲われた後の対処とか、ハンマーの装備の仕方とかが、さりげなくきっちり描れている点には感心。福満しげゆきの細やかさがうかがえる一幕だった。

 斎藤裕之介「あそこに6時」。けっこう面白い。男の金玉の上で待ち合わせて愛の告白をする先輩男子と、それを受ける後輩女子のちょっと甘酸っぱくもほろ苦い物語。くっきりと太い描線の個性的な絵柄が気持ちいいし、シュールなお話もなかなか楽しい。なんでちんこなのかという説明は当然不要。気楽に読めていい感じだった。鳥子悟「下の毛」。片想い相手の髪の毛をゲットしておまじないをしたところ、想いはかなったけど、とんでもないことになってしまった女の子の物語。淡々とした調子で進むお話がユニーク。

 藤枝奈己絵「夢色お兄ちゃん」は今回もくだらなくていい。お兄ちゃんの部屋に入り浸っている、お兄ちゃんのかつての彼女で人気下降気味なアイドル・広田さんがメインのお話。彼女の部屋に雑誌の取材が来るが、その部屋は想像を絶する魔窟、ゴミため状態。それをどうするかーといった後の行動もアホくさいし、すごいことになってもまったく気にした様子がないのも見てて面白い。

【雑誌】ビッグコミック 3/10 No.5 小学館 B5中

 一條裕子「貂の家」が最終回。この人の作品らしく最後まですごく淡々と終わった。地味な作品ではあるけど、それだけにちゃんとまとめて読みたいんで、単行本化されるとよろしいのですが。

【単行本】「ナチュン」1巻 津留泰作 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 現在アフタヌーンで連載中の新鋭の初単行本。混沌としてはいるんだけど、これはなかなか面白い。注目の一作。

 お話のほうは、事故により脳の大半を失ってしまった教授が撮影した、イルカの生態観察ビデオを見た主人公が、そこからものすごいインスピレーションを得るところから始まる。彼はそのビデオを見て、「もっとイルカの観察を続ければ超画期的な人口知能がつくれるぜ、スゲー!」「これさえあれば世界征服も夢じゃねー!!」的な考えに至り、イルカ観察をしようとするが、日本国内ではそれに適したスポットがなかなか見つからず。しかしそれでもくじけない彼は、沖縄のとある小島に住まう漁師のおっさんのところに転がり込んで、その漁を手伝う傍ら、イルカ観察をしようともくろむのであった……。

 というのが第1巻のあらすじ。このように書くと、「ものすごくハードな観察やらが描かれるアカデミックな内容になるのでは」と思う人も多いかもしれないが、今のところそんなでもなくて、描かれるのは主人公とおっさんの島での生活模様がメイン。おっさんは腕のいい漁師ではあるがかなり自堕落で気まぐれで乱暴でスケベ。そのおかげもあって観測は遅々として進まず、日常はぐだぐだと経過する。しかしその様子が読んでいてなんだか心地いい。そこからどう話が転がるんだかさっぱり予想はつかないながらも、ぐだぐだしたままでもいいし、お話が大きくなっていってもいいし、全方位な構えを作り出している。

 絵柄的にはゴチャゴチャしているが、それがまたいい。既存作家でいえば、大山玲に近いかな。混沌としてはいるものの読みにくいというほどではないし、先行きが見えないお話と、どことなく呑気で気怠げなお話にもよくマッチしていると思う。主人公とおっさんのやり取りとかもテンポが良くて見てて楽しいし、その島に住む口のきけない女漁師のねえちゃんもミステリアスで不思議な魅力がある。このままうまく進めば、かなり印象的な作品に育っていきそう。楽しみ。

【単行本】「ZOOKEEPER」2巻 青木幸子 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 すごく面白いなあ。動物園の女性飼育員を主人公に、動物園という施設の意義についていろんな視点、切り口から描いていく物語がすごく読みごたえある。単純に「動物を生かせばいい」ってんではなく、客を集めること、園を存続する意義、動物の受け入れ、一般家庭での動物の飼育……といったさまざまなことに対して考察を加えているので、一方的な押しつけにならないのが良いところ。

 また主人公である香也が持つ「温度を目で見ることができる」という特殊能力の使い方もうまい。使用範囲の限定された能力だが、それを「ここぞ」ってときに使ってくるし、けしてそれだけに頼りきることがない。そのおかげで「能力なしにはできない展開」を見せつつも、作品全体は「神ならぬ人間」側にしっかり落ち着いた、現実味のあるものとなっている。このあたりのバランスは素晴らしいと思う。

 作者自身がおまけ漫画で描いていることなんで、ことさら書くのは申し訳ない気はするんだけど、パッと見はやっぱり地味だと思う。でも力あるいい作品に仕上がっていることは確か。書店でパッと目がいくタイプではないかもしれないけど、ぜひ読んでみてほしい作品。

【単行本】「AQUA BLESS」 大和川 茜新社 A5 [Amzn]

 初単行本ながら達者。大和川の特徴は、なんといってもその瑞々しい作画。パーッとした華やかさがある作画はたいへん瑞々しく、エロさもしっかり。内容のほうは、女子高生、アイドル、幼なじみ、戦隊モノコスプレ、女装、お嬢様……と幅広く押さえる。ロリ系、陵辱系はないものの、明るめのお話ならだいたいオッケーのオールラウンダーといったところ。あとこの人のいい点としては、女性キャラの表情がイキイキしていることのほかに、プロポーション、ポーズの付け方が良いところ。足が長く、きゅっとおしりの上がった女性キャラは、適度に健康的で、なおかつエロっぽさも振りまいている。続きモノはないので読ませるといった感じではないけど、見映えのする作画と分かりやすいエロさはキャッチーであります。

【単行本】「J・R」 あわじひめじ 茜新社 A5 [Amzn]

 LOでのあわじひめじは、ガチなロリ陵辱系な作品が多い。帯には「ヒネリ無しのエロス」とかかれているけど、単行本を見ると随所に小技はいろいろ効いているような気はする。カバー折り返し部分の「今日の格言」とか、単行本巻末のものすごく充実した女子設定資料集とか。まあお話のほうは少女たちがガチンコで陵辱されまくってて鬼畜な内容であるため、レイプ属性のない方には不向き。ただその分エロ度は高めで、少女たちの肉質もむっちり感はある。自分はロリ属性ではないのであれですが、コドモスキーかつ陵辱スキーな人にとっては実用的な1冊といえそう。

【単行本】「アフタースクール」 藤原俊一 クロエ出版 A5 [Amzn]

 この人の描くエロ漫画はわりと好きです。絵的には少し垢抜けないところもあるんだけど、キャラっに独特のエロさがある。ヒロインの顔を赤らめたあえぎ顔は目つきがエロっぽいし、エロシーンのじりじりとした盛り上げ方も悪くない。あと乳とか、フェラチオ時の口をもごつかせた感じとか、独特のねちっこさを感じる。あとこの単行本では顕著ではないものの、桃姫でやってる「憧れの女」で示したように、寝取られ系のシチュエーションでもけっこうグッとくるものを出せる。この独特のエロっぽさはそのまま保ちつつ、作画が伸びてくればかなりいい感じになるんじゃないかと期待。


2/23(金)……陰から摩耗!

▼2月は日数が少ないので、なんか忙しい。結局この日記書いてるのも28日の午前中なわけですが、ようやく仕事が明けたっぽいので、そろそろちゃんと更新したいなーとは思います。

【雑誌】コミックハイ! 3月号 双葉社 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 私屋カヲル「こどものじかん」。最近めがね女教師の白井先生が良い感じ。青木先生に対してイラツキつつも、なんだか意識せずにはいられない……ってな具合で、かなりツンデレ感を醸し出している。ラブコメ戦線はますます盛り上がってきておりますなあ。中田ゆみ「ちゅーぶら!!」。下着大好き女子が主人公ということで、2回めもたいへん華やか。当然のことながらぱんつもよく出てくるし、おっぱいのほうにも注目している。でも全体としては健康的なドタバタコメディでもあるので、甘ったるいけどスッキリと読める。

【雑誌】ヤングアニマル 3/9 No.5 白泉社 B5中

 「藍より青し」の文月晃が新連載開始。タイトルは「海の御先」。何やら理由があって奥津島を訪れた17歳の少年・後藤凪が、そこで鳴海雫という同い年の美少女に出会ったところからお話はスタート。まだそこから先はどうなるかは分からないけど、読んでみた感じでは、この二人による純愛ストーリーとなっていくってとこかな。とりあえず健康的で爽やかな雰囲気でまずまずの滑り出し。

 東雲太郎「キミキス」は、主人公と咲野さんの距離がだんだん接近。甘酸っぱいですのう。咲野さん編はヒロインが健康的なスポーツ少女ってことで、前回の摩央姉編よりはエロっちくはないものの、その分ボーイ・ミーツ・ガールな爽やかさは出てるかな。まあ何にせよラブコメとして、相変わらずよくできてると思います。克・亜樹「ふたりエッチ」。優良さんがますます淫乱になってきたー! 真がちゃんとやってるにも関わらず、まだ物足りないという状態に。このタイミングで真が出張とかに行ったりすると良いと思う。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 小学館 B5中

 今谷鉄柱「県庁の星」(原作:桂望美+シナリオ:杉浦真夕)が最終回。県庁から研修でスーパーや赤字テーマパークに派遣された県庁職員が、そこでさまざまな経験を積んで成長するというお話。けっこうきっちりお話が作られていたと思うし、キャラクターもまずまず。県庁さんがスーパーで知り合った女性店員・素子さんもけっこうツンデレ感あって悪くなかったし。まあそんなわけでさほど派手ではないけど、案外楽しめる作品だったと思う。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 3/9 No.9 日本文芸社 B5中

 村生ミオ「SとM」。沙耶のストーキングに腹をくくった旦那さんが警察に駆け込むも、相手にしてもらえず絶望。心情描写のシーンとか、あまりにもベタベタすぎて思わず笑ってしまう。最近の村生ミオのこの手の心理描写シーンは凄すぎる。何か得体の知れないものに目覚めてしまった感さえありますな。

 土山しげる「喰いしん坊!」。ついに西山清志が本領を発揮してきたー! てなわけで万力の政もピンチ。邪道ってほどの食い方ではないが、なかなかの性能。ところで万力の政の4個喰いって、1回あたりの単位が4個だから、「何個食べた」ってのがカウントしにくそう。あと1個ずつカウント数増やしていくのと違って、細かく達成感を得ていくことができないので、その点はマイナスという気がする。

【雑誌】コミックバンチ 3/9 No.13 新潮社 B5中

 原哲夫「蒼天の拳」は相変わらず悪の親玉系の人たちがいい。今回も杜天風のオヤビンが上海ガニを丸かじりして、その吐き出す殻が部下たちの顔に刺さりまくるくだりが阿呆臭くて良かった。古屋兎丸「彼女を守る51の方法」。センター街に差しかかったジンたち一行だが、暴徒となった若い衆のせいでピンチに。恐怖で体が動かないジンの姿が痛々しい。あとジンたちと同行している謎のおっさんがなんだかうさんくさい。古屋兎丸作品にしては先鋭的って感じではないものの、けっこう読ませるお話になっていると思う。こういう作品も描けちゃう作風の幅広さは大したもんだと思いますね。

【雑誌】コミック・ガンボ 2/20 No.6 デジマ B5中

 村上もとか「岳人列伝 吹雪」が再録。まあぶっちゃけた話、やっぱこの作品がこの雑誌の中では一番読ませる力強さはあると思う。あとは作:梶川良+画:河承男「英雄戦国誌 覇道遙かなり」あたりかな? この作品は骨太で安定感があり、この雑誌の中では手堅い部類。

【単行本】「陰からマモル!」2巻 作:阿智太郎+画:まだらさい メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 1〜2巻まとめて新装版として出し直し。この2巻からはコミックアライブ掲載分も収録。コミックフラッパーに掲載されていた分も好きだったけど、2巻になってからますます、まだらさいがうまくなってきて良くなっている。なんといっても絵が華やかでかわいい。一枚絵としてのうまさじゃなくて、漫画絵としての良さがどんどん発揮されてきていると思う。またまったりほのぼの感のあるお話も好き。とにかく脳天気で気楽に読めるし、萌え要素も十分。各女の子キャラがそれぞれ個性的なのも見ていて楽しい点。

 女の子連中のうち、2巻でとくに良かったのは美少女剣士の椿。椿とマモルがお試しデートするみたいなお話があって、そのときの椿の笑顔とかたいへんよろしーです。お話的には他愛ないといえば他愛ないんだけど、ああいう弾けるような表情を描けるっていうのは、やっぱ漫画としても重要な魅力。そのほか、ゆうなの破格の天然ボケキャラぶり、沢菓さんのツンデレぶりにも、見ててニヤニヤさせられるものがある。あとこの巻の後半では、マモルの妹分的な存在の山芽ちゃんも登場。こちらもきっちりカワイイ。まだらさいには、このままズンズン上達していってほしい。

【単行本】「弟になんか感じない!」 狩野蒼穹 オークス A5 [Amzn]

 暖かみがあってやわらかい、ほのぼの感あふれるかわいい絵柄が気持ちいい狩野蒼穹の3冊目。この本はタイトルを見ても分かるとおり、お姉ちゃんと弟モノのお話でまとめられているんだけど、これがたいへん楽しい。弟にぞっこんラブなお姉ちゃん方がとてもかわいらしいし、お話としても微笑ましいものがある。この単行本にはちょっと昔のお話も入ってるけど、絵もだいぶ良くなってるなー。こなれてきてるし、キュートさ、ほんわか感、オシャレ度、いずれもアップしてきている感がある。

 収録作品の中では、まず表題作「弟になんか感じない!」前後編が良い。弟と次女がエッチしているところを目撃しちゃった長女さんが、なんだかんだあって結局3人でやっちゃうという展開な漫画なんだけど、やたら弟を甘やかしている長女さんの人の良さそうな感じが実に好ましい。「おねぃちゃん計画」もなかなか。弟に対して自分の想いを伝えられなくて、「彼女ができたときの練習」という名目で、弟と体だけでもつながろうとするお姉ちゃんの気持ちが切ない。でもおしまいのほうは甘ったるいけど。

 まあそんなわけでラブラブであまあまな姉モノを読みたい人にはオススメな1冊。キュートで明るいタイプの絵柄なので、実用度という面では弱いけど、まあかわいさ、ラブラブ度を求めて読むタイプの作品なんで、それはノープロブレムでございましょう。


2/22(木)……縄スレ

OHP月極アンケート、2007年2月分「文科系部活漫画」は28日いっぱいで締め切ります。というわけで、「こんなのもオススメ!」「この作品について語りてえ!!」とかいうのがありましたら、期間中に投票およびコメントお寄せいただければと思います。

【雑誌】モーニング 3/8 No.12 講談社 B5中

 相変わらずモーニングは貪欲ですなあ。今号からよしながふみの月イチ新連載「きのう何食べた?」がスタート。女性読者層も取り込めて、かつ男性読者にも受け入れられるという意味では、現在最高クラスの人材。それを表紙&巻頭カラーでドカッと持ってきた。お話のほうはやたら料理が好きで性格も細かい弁護士の美あんちゃんと、その恋人である美容師の男の日常&食事模様を描いていくという感じかな。やはりよしながふみキャラの料理を食っている様子はおいしそうだし、お話の進め方も巧みでテンポ良く読める。これは今後も楽しみ。

 あと今号には、比嘉慂「美童物語」の最新エピソードも掲載。本来は単行本用の描き下ろし作品だったのだけど、出来の良さから急きょ雑誌掲載になったのだとか。

【雑誌】ヤングサンデー 3/8 No.12 小学館 B5中

 北崎拓「さくらんぼシンドローム クピドの悪戯II」。このところ麻生さんがずいぶんエロっぽくてブイブイいわせてたけど、れなのキスもずいぶん情熱的、っていうかワイルドになってきた。見た目が少女で乳臭さもあるだけに、背徳感も加わりエロっちさアップ。うまいなあ。

【雑誌】ヤングジャンプ 3/8 No.12 集英社 B5中

 甲斐谷忍「LIAR GAME」の新章がスタート。それと同時に4月からTVドラマ化との報が。漫画漫画した絵でもないし、これは実写でもけっこう合いそう。もちろんうまく作れればではあるけれども。小田原ドラゴンはヤングジャンプ初登場。タイトルは「東京ヤンキーパーク」。ディズニーランドよろしく、DNA操作で蘇ったヤンキーたちが群をなしているテーマパークに、デートで訪れたカップルのお話。展開されている風景はみみっちくはありつつも、意外とファンタジーな世界という感じもして、実際にあったらちょっと行ってみたいと思わされた。本当にちょっとでいいのだけれども。柴田ヨクサル「ハチワンダイバー」は、vs.漫画家の先生編決着。最後のほうも力強く畳みかけてて白熱してました。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/8 No.13 秋田書店 B5平

 桜井のりお「みつどもえ」が巻頭オールカラー。高橋てつや「ペンギン娘」が巻中カラーと、萌え萌えチャンピオンは今週もノリノリ。そういえば「ペンギン娘」は4コマのコマ割りが混在しなくなって、いくぶん読みやすくなっておりますな。まあ相変わらずガチャガチャしてて混沌としているんだけど、やっぱりこの不思議な勢いの良さには注目せざるを得ない。森繁拓真「アイホシモドキ」。最近は暴力女子の相星さんが、だいぶ元木くんに心を許して来ている感じ。ラブコメっていうほどにはラブではないんだけど、なんかほのぼのした気分になれて好きです。

【雑誌】美少女的快活力 Vol.14 光彩書房 A5中 [Amzn]

 純愛果実と美少女的快活力は、ともに隔月と条件的には不利な雑誌ながらも、けっこう頑張ってるなという印象。実用的ながらもオリジナリティのある作家さんが多く、雑誌ごとの個性は出せていると思う。

 で、今号はまずゼロの者「わすれな」がついに最終回。少年少女時代から続く兄妹の愛の物語に、きれいに終止符を打った。最後は二人の愛情の濃さがにじみ出ていて、甘く幸せな締めくくり方。エロは相変わらず濃密にやりながら、心にジーンとくるものを残す、良い作品に仕上がったと思う。ゼロの者はこの作品が実質的に長編初挑戦だったけど、連載の間中楽しませてもらった。満足しました。

 犬「ストレンジカインドオブウーマンズ」は2回目。深谷くんが記憶喪失になったのをいいことに、元カノだった三田さんが一気に攻勢をかける。しかし藤乃も黙ってはいず……いや黙ってるんだけど実力行使で深谷にエロスアタック。記憶を失ったまま三田さんに誘惑されっぱなしの深谷に対してヘソを曲げてる藤乃がたいへんかわいい。そしてぷにぷに感のあふれる体つきはやっぱエロい。

 はるるん「きっかけなんてそんなもの」。初巻頭カラー。どじっ娘で暴走気味なチャイナ服少女さんが見てて楽しい。ドタバタ感たっぷりで、かつキャラに愛敬があるのが良かった。あと廣田正胤「Bitter Suites」も読んでいて楽しかった。ツンデレ女子とその幼なじみ男子のバレンタイン話なんだけど、彼女のツンデレぶりの極端さがけっこうアホっぽくて面白い。ツンとデレの落差の凄さで笑わせるという目の付けどころがなかなかにいい。この人のペンタッチの細かい、独特の質感のある絵柄も好きです。

 あと今号には、前号の壱條實見による「エロマンガ・スタディーズ」書評に対する永山薫の反論が2ページ掲載されている。なんだか塩山芳明が焚き付けて、多田編集長が乗っかったという形みたい。まあ論戦がどういう方向に進むにしろ、個人的には実はあんまり興味はない。他人同士の喧嘩ですし……。

【雑誌】コミックニャン2倶楽部GOLD Vol.2 コアマガジン B5平 [Amzn]

 装丁はメガプラス系ながらもコミックニャン2倶楽部の増刊。そして内容のほうはエロ劇画寄りという雑誌。むっちり感があり、濃いめでアダルトな色合いの濃い作家陣をこちらでは集めている。

 長谷円「華代先生の秘密」は工業高校かな?における女教師さん凌辱モノ。長谷円のもちっとしたボリューム感のある絵柄が色っぽく、プレー内容もなかなかハード。着衣状態でも色気がにじみ出ているのがいい。天竺浪人「柘榴」は貞淑そうな人妻が、息子とも関係を持っているその友達の少年に犯され、彼の肉体の虜になっていくという物語。息子の友人少年が、少年のくせにやけに手慣れていて相手の弱い部分を執拗につき崩してくる。そのねちっこいやり口、手管がいやらしさを感じさせてくれる。最初は教育ママメガネだった奥さんが、髪を振り乱し、メガネも外れた状態でよがりくるう様がエロかった。

 あと巻末漫画の咲良「調教ちゃん」は、濃いめの絵柄の作品が多いこの雑誌の中では珍しく萌え系な絵柄。ペンタッチも細かくてなかなかかわいーです。

【雑誌】COMICジャンボ 3月号 桃園書房 B5中 [Amzn]

 今度ドルフィン作家陣が合流してきてリニューアルされるとのことなんで、変わる前の姿を記憶に止めておこうかと思い購入。もうパッと見て分かるくらいに80年代っぽさを残した懐かしい誌面はけっこう凄い。まずは表紙が艶々、そして巻頭カラーがわたなべわたるの「ドッキン♥美奈子先生」だという点でクラクラする。相変わらずわたなべわたる先生は、ビニール風船のようなピッチンパツパツした女体を描かれておりますなあ。これはもうエロいエロくないは別とした様式美といった感さえある。

 そして有村しのぶ「てぃ〜んずパラダイス2」がやっているのも趣深い。有村しのぶは昔自分がペンギンクラブを初めて買ったころ(中学生のころかな……)、強く惹かれていた作家の一人。今となってはエロさでは新しい人にはかなわないけれども、あの白っぽい独特の絵柄はいまだにけっこう好きなんですよね。岡村杜巳「嵐の夜に…」は人妻モノ。柔らかい絵柄がやっぱいいですね。今となっては特別目立つタイプではないけれども、こなれていてしっとりした触感。あとは河本ひろしも描いているし、読者コーナーでは三峯徹氏の投稿が何通も載っているなど、どうにもまったり感が漂う。

 「今読んで面白いか」といわれると格別面白くはないのだけど、昔よく行った定食屋を訪れて、オヤジさんが現役で常連客も変わってなくて……という光景を目撃したような感じ。読んでてものすごくリラックスした。リニューアルしてこの空気が失われてしまうのもちと惜しい気もするが、まあそれは普段読んでなかった人間のいうこっちゃないですね。


2/21(水)……弔電時報

▼23日のニュースで報じられたことなんですが、更新が遅れたんでこちらに書いちゃいます。「月刊少年ジャンプ」(集英社)が6月6日発売号をもって休刊するとの発表が。最近は読んでなかったんで、どんな状態になってるのか詳しくは知らなかったんだけど、八木敦広「CLAYMORE」のアニメが4月から始まり、その効果も多少は期待できようか……というところだったんで驚かされた。ただ、ざっと見た感じでは昔に比べるとヒット作は激減しており、月刊少年マガジンあたりと比べるとだいぶ差がついちゃってた感はあるので、まあ仕方ないかなという気はした。「冒険王ビイト」が長期休載のままだったのも痛かったんだろうと思われる。「キャプテン」「わたるがぴゅん!」「やるっきゃ騎士」「白い戦士ヤマト」「ガッツ乱平」といった作品も輩出した雑誌だけに残念ではある。ただ買ってなかったくせに、休刊したときだけ「残念」とかいうのも申し訳ない気がするんで、あまりぐだぐだいわずこんなところで終わらせときます。

▼アニメ新番組感想。「ロケットガール」。ひょんなことから宇宙飛行士をやらされることになった女子高生が、宇宙行きを目指して頑張るという作品である模様。野尻抱介の小説のアニメ化。キャラクター原案はむっちりむうにい。初回の印象としては「面白くなりそう」と思わせる要素は十分。宇宙モノ自体は好きだし、キャラクターもそれぞれかわいくて見栄えはする。ストーリー的にも、キャラクターをきちんと作ったうえで、宇宙へ向かうまでのステップをきちんと追っていけば破綻することもなさそう。作画レベルもまずは上々だし、今後への期待を込めて視聴継続。

【雑誌】コミック電撃大王 4月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 電撃帝王でやってた作:中山文十郎+画:緋賀ゆかり「シャイナ・ダルク」と、作:鎌池和馬+賀:冬川基「とある科学の超電磁砲(レールガン)」の2作がお引越してきた。ここまでのお話は知らないけど、さすがにあえて残すだけあって絵柄的にはどっちも華がある。個人的には「とある科学の〜」のちょいとシャレた雰囲気の絵柄、ドタバタしつつ百合っぽさも交えた作風はわりと好みかな。あずまきよひこ「よつばと!」。よつばがほっぺたを赤くしている!萌えか!!……というのではなく、風邪でした。たまには元気でないよつばもいい。とかいいつつ風邪のわりにはやかましいけど。

 作:オーガスト+画:脳みそホエホエ「夜明け前より瑠璃色な」は次号で最終回。途中までラブコメ的にすごく良かったんだけど、ラストでお話のほうをまとめにかかってからは、展開が急すぎてもう一つになってしまった感がある。恋愛がらみのほうはさすがに逆転はないかな。漫画版でのフィーナは結局当て馬に近いままで、いくぶん存在感薄かったかも。作:あかほりさとる+画:桂遊生丸「かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜」もラス前。恋愛面はこれで決着ついたかな。こちらも逆転ないままでいってほしい。でも最後のほうの展開については、突然起こり得るはずもない「計算違い」が発覚してはずむの死期が早まるとか、正直なところ話の進め方が雑だったと思う。個人的には残念。

【雑誌】コミデジ+ Vol.6 モビーダ/SBCr B5平 [Amzn]

 コゲどんぼ「かみちゃまかりん」のアニメ化に合わせて、「こんこんここん」と「かみちゃまかりん」のコラボ企画「こんこんかりん」が掲載。といってもカラー漫画4ページだけだけど。で、次号からは「かみちゃまかりん」の番外編「かみちゃまかりん+」も始まるらしい。「かみちゃまかりん」といえば講談社での連載なんで、わざわざこっちでやるというのはちょっと意外な展開。で、次号からコゲどんぼプロジェクトとして「かみちゃまかりん+」が本格始動するらしい。コゲどんぼの漫画は2本同時掲載になるそうな。一瞬「かみちゃまかりん」と「こんこんここん」同時掲載ででじこは用済みかにょー!とか思ったが、「でじこもかりんも読めちゃう!」というキャッチがついてるんで、むしろここんのほうが用済みなのかも? とりあえずでじこがなくならなくてホッとした。あと、コゲどんぼ作品では、今号には「Winter Garden」の後編も掲載。かなりアニメどおりな内容でしたな。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/7 No.12 小学館 B5平

 寒川一之「ゴールデンエイジ」が巻頭カラー。W杯に合わせて始まったサッカー漫画だが、W杯が終わった後もけっこうちゃんと頑張っている。派手なタイプではないけど絵はかわいいし、キャラも個性豊かで面白いと思う。サッカーの戦術的な面も、まだチームのレベルが低いこともあって本格的というほどではないものの、そのレベルなりのものは描けているし。最近のサッカー漫画の中ではかなり健闘している部類といえる。

 畑健二郎「ハヤテのごとく!」。今回は西沢さんがハヤテと一緒でいい感じな回。すでに告白済みで好意を持っていることはバレバレ。本来なら微妙な距離なんだけどそこらへんも心地よく処理している。あと最終ページのオチのつけ方もうまい。小ネタギャグが目立つ作品ではあるけれど、ラブコメとしてもちゃんと面白いのが良いところ。

 鹿賀ミツル「ギャンブル!」。最近けっこう面白い。あどけない顔つきの主人公・マサルのギャンブラーとしての怖さ、狂的な部分が見えてきてグッと引き込まれる。ギャンブル漫画はハッタリが重要だけど、だいぶそういう部分が出てきた。あとはギャンブルの種目ごとの面白みがもっと出てくればってとこかな。万乗大智「武心」は最終回。最初柔道漫画で始まったと思ったら、途中でいきなりお姫様ボディガード漫画に転身、さらにお父さんいきなり死亡とかの劇的なテコ入れ作も施したがそれも及ばず。なりふり構わないやり口は嫌いではなかったのだけど、まあ軸の定まらない作品ではあったし仕方ないところか。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/7 No.12 講談社 B5平

 こちらのW杯合わせのサッカー漫画、作:伊賀大晃+画:月山可也「エリアの騎士」もけっこう頑張ってるほうかな? 掲載順は前から4番目だし。あと今号では作:青樹佑夜+画:綾峰欄人「GetBackers −奪還屋−」が最終回となっている。いつの間にか連載は8年、単行本は全39巻にもなっていたのですな。途中からお話ちゃんと追ってなかったので、そこまでの印象はなかったりするのですが。

【雑誌】COMIC LO 4月号 茜新社 B5平 [Amzn]

 新鋭の雨がっぱ少女群「団地の子」が巻頭で掲載。持ち込みからスタートしてLOでは2作目の人だが、確かにかなりうまい。少女の造形が可憐であるだけでなく、背景描写がカリコリ緻密に描き込まれているせいで、全体にしっとりした雰囲気がある。お話のほうは普通の兄妹モノではあるんだけど、きちんと世界が見えるので、なんとなくそれ以上の奥行きを感じさせてしまうものがある。なかなかにうまい人なので、ここからズンズン出世していってほしい。

 完顔阿骨打「Short Short Very Short」も兄妹モノ。生意気な妹さんが兄の学校の学園祭につれてけーとうるさくねだってきて、兄はしぶしぶ連れていく。そこで和風喫茶を手伝わされた妹さんと兄が、流れでエッチ……ってな展開。相変わらず安定感抜群だし、賑やかで元気の良い妹さんもしっかりキュート。お兄ちゃんへのラブっぷりもしつこすぎないのがいい感じ。

 鬼束直「Endearing with the sound turned off」。引っ込み思案な従妹さんとおにいちゃんがエッチ。普段は前髪で目をほとんど隠しているような恥ずかしがりの従妹さんがかわいらしいじゃありませんか。目を隠している分、髪を上げてパッと目を出した瞬間の印象も鮮烈になるし。うさくん「息抜きしようよ♥」。制服として黄色い帽子を採用している小学校の女生徒さんと、大学生の彼氏さんのお話。ランドセルはしょってるけど、黄色帽子で名札もつけているので、園児っぽさもあるかな……。あと最終ページの3コマ漫画もいつもながらほのぼの楽しい。

 初単行本「ひよこのたまご」が4月25日に発売予定の裏次郎は、この前連載が終了した「はらませ!」の番外編で登場。おばあちゃん言葉でしゃべる妹がいかにして兄とエロいことをするようになったかという初めて物語が描かれている。相変わらずこの妹さんは元気良くてかわいい。まあこの番外編では、東京に引っ越してきたばかりでちょっと元気をなくしているという設定だけど、「普段が元気」という前提があるからこそ、そのしょんぼりした様子がより新鮮に感じられるというわけでして。

【単行本】「EVIL HEART」気編 武富智 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 ヤングジャンプで連載されたものの、不完全燃焼のまま全3巻で終わってしまった「EVIL HEART」の続編が登場。300ページ以上もの描き下ろしで単行本化となったわけだが、いったん打ち切られながらもここまでこぎ着けたというのはちょっとすごいかも。

 お話のほうは合気道にすっかり魅せられた梅少年が、その稽古を通じて人間的にもだんだん成長。その急成長ぶりと、梅の姿を目にして触発されたダニエル先生の内面を掘り下げていくというのがこの巻のメインとなる。で、梅は合気道の空気投げの映像を目にして、ダニエル先生にいろいろつっかかっていくのだが、そこでちょいと衝突。その後にダニエル先生が故郷のカナダに戻ったこともあり、それを追っかけて梅もカナダに乗り込んでいくのだが……ってな感じとなっていく。

 物語のほうは、合気道を媒介として、人と人とが心を通わせながら成長させていく青春ストーリーを、しっかり展開していてけっこう読みごたえがある。合気道を扱っているものの、スポーツ漫画というよりは、青春漫画という色合いのほうが濃い。武富智のシャープでスッキリしているけれども凜とした強さもある作画は、やはりパッと目を引くものがある。その絵柄のおかげもあって爽やかな作品に仕上がった。なお1〜3巻ではヒロインだった合気道少女・鶴は、この巻ではほとんど存在感なし。まあ恋愛方面にお話を振る気は元々あんまりなかったんでしょうな。


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