2007年10月下旬


10/29(月)10/30(火)10/31(水)……サイコロ振ったっす

▼あー、そろそろちゃんと更新します。あとOHP月極アンケートの2007年11月分「海に関連した漫画」やっとります。よろしくお願いします。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 12月号 少年画報社 B5平 [Amzn]

 宮尾岳「並木橋通りアオバ自転車店」がアワーズで不定期連載開始。ヤングキング本誌のほうで本編はちゃんと続いているので、両方やるらしい。まあヤングキング本誌はヤンキー色も強い雑誌だし、宮尾岳の絵から考えるとアワーズのほうがしっくり来るかな? 内容のほうは相変わらずの手堅さでブレがない。

 小野寺浩二「聖乙女学園血風録」が最終回。ドタバタ最後まで賑やかに最終回。最後はむちゃくちゃ話を大きくしまくったけど、そのヤケクソなノリはこの作品らしい。この最終回がどんな感じに収まっているかというのは、単行本でまた確認したいと思います。

【雑誌】コミックバーズ 12月号 幻冬舎コミックス B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 新連載、作:あおい+画:箸井地図「リサーチャー」が開始。元ホストの主人公・大友創がリサーチ会社に就職……というところから始まる物語。リサーチとは、テレビ曲向けに、番組内で使うデータを作成したり、必要な人材を手配したりするのを行うお仕事。主人公はホスト界ではブイブイいわせていたが、ある日店にやってきた敏腕リサーチャーのカッコ良さを目にして、同じ道を歩もうと決意する。お話のほうはお仕事モノという感じで手堅そう。箸井地図の絵柄は、相変わらずスッキリとしていてスタイリッシュ。これまで大塚英志がらみの仕事が多かった箸井地図だけど、違ったタイプの作品をやることで新たな一面を見せてくれることに期待。

 作:GONZO+画:綾村切人「RED GARDEN」は今回も百合色濃厚。ケイトがレイチェルのところを訪ね、ぶつかり合ったのちに仲直り。二人が微笑みあったりしてるシーンはなかなか。あとクレアによって、派手な服を着せられたケイトの姿がちょっと面白い。といってもまあ、レイチェルが男遊びも好きなギャルギャルしい娘さんなんで、クレアあたりとからむときよりは百合っぽくはないかな。玉置勉強「ねくろまねすく」は芯キャラ登場。カタリナやアミの住むアパートの管理人さん。地味なドジッ娘でそばかすが特徴的。玉置勉強はそばかすキャラうまいですよね。

【単行本】「サイコスタッフ」 水上悟志 芳文社 B6 [bk1][Amzn]

 おた☆スケのレビューで詳しく書きましたが、これは面白いです。読んでてとても清々しい。お話の概要については、リンク先のほうでしつこく書いたのでそちらを見ていただいたほうがよろしいかと思いますが、簡単にいえば超能力少年と宇宙人娘の物語。一見ごく平凡だがすごい超能力の持ち主である主人公・柊光一を、宇宙から来たやってきた美少女・桜木梅子が宇宙軍にスカウトするが……。

 この作品でなんといってもいいのが、登場する光一・梅子の両キャラが、どちらもすごい能力を持ちながらも努力家であるという点。とくに持って生まれた超能力を使って人生を有利にするような「ズル」をしようとせず、ほかの人と同じようにちゃんと勉強も頑張って、人生を切り拓いていこうとする光一がカッコイイ。まあ持って生まれた才能をちゃんと使わないというのはもったいないといえばもったいないし、それが正しいことなのかは意見の分れるところだと思う。ただ、信念をしっかり持ち、自分に対して恥じることのない生き方をしようとしているところには、大いに好感が持てる。また梅子も最初は自分勝手なように見えるけれども、回を重ねるごとに頑張り屋さんで素直な性格が見えてきて、こちらもいとおしいキャラになっていく。

 お話の構成もいい。「いきなり電波娘登場か?」とか思わせる出だしから始まり、その後の押し問答を楽しく展開。その間に二人の良い部分を印象づけていき、クライマックスでガガッと盛り上げ、ラストはきれいに爽やかに締めくくる。切なさと暖かさ、甘酸っぱさの入り混じるラストはなんとも心地がいいし感動もする。軽妙なテンポでお話を進めつつも、アツさみたいなものもちゃんとあるし、ユーモアやサービスも忘れていない。梅子のパンチラはたくさん出てくるが、心華やぐものの下品になることはない。

 水上悟志は短編がうまい人だけど、この作品は1巻分で完結という適度な長さでちょうどいいボリューム感。お話をしっかりコントロールできてるし、すごくきれいにまとまっている。けっこうジーンと来るようなセリフも多い。水上悟志の作品の中では今までで一番イイんじゃないですかねえ。若いモンがちゃんと努力して報われる。いやー、いいお話じゃないっすか。「いい本読んだな」という満足感の残る一作。

【単行本】「俺はまだ本気出してないだけ」1巻 青野春秋 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 IKKIで連載中のオッサン漫画。40歳にして突然「マンガ家になる」と決意して、会社を辞めてしまったシズオ。別に絵の仕事をしていたというわけでもなく、娘もいるというのに、適当にドロップアウトしてしまったオッサンのしょうもない日常を描く。

 というわけでシズオの状況は、正直なところ待ったなし。「どうするんだこの人……」という感じではあるのだが、シズオはときどき苦悩はしつつも、妙に楽天的でふてぶてしいところもあり、生活はユルく生ヌルく進行。ハンバーガー屋さんでバイトをし、ときどき持ち込みに行き、ときどき父親とケンカする日々。娘のほうは静観というか諦観というか。

 もし実際にそういう状況だとしたら、あまりにノーフューチャーなんで絶望しそうにも思えるんだけど、この作品の場合はわりと気楽。テキトー感と絶望感がユルくいりまじってる独特な感覚がなんだか妙に面白い。それとシズオの行動・言動がいちいちしょうもないのも楽しい。絵的にあまりベタベタしない、淡々とした調子なのも良いところかと思います。なかなかいい味出してる個性派な作品。

【単行本】「ちゅーぶら!」1巻 中田ゆみ 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 下着大好きな女子中学生・葉山奈由が、周囲の誤解を受けつつも頑張って、友人らと共に「下着部」創設を目指して頑張る……というお話。そういう内容だけに当然下着シーンはいっぱい出てくるんだけど、キュートな絵柄のおかげでエロっちくなりすぎはせず、かわいらしいお話になっている。まあ「下着好き」というのが、周囲の誤解を受けて苦しい状況になったりもするので、ただ単純に「かわいい」「楽しい」だけでは済んではいないですが。でも下着シーンが多いということで華やかなんで、目に楽しいことは事実。あとこの作品では、わりと頭身縮めたコミカルなタッチを多用してきてるなーって感じはしますね。

【単行本】「阿佐谷腐れ酢学園 エマニエル編」 SABE ワニマガジン社 A5 [Amzn]

 なんと4年ぶりの続刊にして完結巻。快楽天で細々と連載されていたギャグ漫画。常にブルマー着用の女の子・ブルマちゃんを中心とした、イカれた学園ライフを展開していくという作品。そのほかにも、ブルマちゃんの腹違いの娘で影武者的存在の日陰ちゃん、いつもペンギンを虐殺して回っているペンギン虐待女、フードの付いた服に異様なフェチズムを感じるフード女、肉欲に溺れるアライグマなど、出てくるのはみんなクレイジーなキャラばかり。

 お話のほうは、学園内でものすごーくダラダラと展開されるけど、キャラがもう揃いも揃ってイカれているので、中身のほうもマトモになるわけはなく。SABE作品の中では、「地獄組の女」とか「世界の孫」に比べるといくぶんダイナミックさには欠けるかもしれないけど、下らなくて面白いことは確か。ヤバい人たちの躍動に、ニヤリとしたり爆笑したりする一作。

【単行本】「劇画 信長公記」1巻 平田弘史 リイド社 A5 [bk1][Amzn]

 織田信長の生涯を描いていく物語。相変わらず平田弘史の作画は豪快で力強い。ただお話的には案外軽いノリだったりもする。その理由としては、若き日の織田信長がとにかく助平でやりたがりであること。性欲が抑えきれず、最初は農家の娘とやりまくっていたのだが、それを平手政秀に禁じられて悶々。辛抱たまらんということで嫁をとることになり、斎藤道三の娘を迎えて、昼も夜も、内でも外でもパッコンパッコン。もちろん武将としての本道の話もしっかり描かれてはいるのだが、どうしても印象に残るのはその助平ぶりのほう。股間を切なそうに抑えながら「う〜!女とやりてえ〜!」「女のあの味はたまらねえ〜〜!!」とうめく信長像はなかなか新鮮。

【単行本】「ヘブンズ・ドライブ」 山本マサユキ 集英社 [bk1][Amzn]

 主人公が死んだ後、美女の運転する「車輪の付いた乗物」に次々憑依していって……というコメディ。すごく軽いノリで「美女とクルマ」を描いていく作品。サービスシーンも多め。山本マサユキの絵は、シンプルながらも意外と女の子が色っぽいんだけど、それは威力を発揮している。ストレートに「クルマとオンナ」な漫画を読みたいっていう人にはよろしいのでは。

【単行本】「ねくろまねすく」1巻 玉置勉強 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 ものすごい遊び人で女をコマしてはポイ捨てしていた主人公・阿美(アミ)が、恨みを買って刺され、死んでしまったと思ったら……というところから始まる物語。その後、アミはどうしてなんだか分らないが不死者になってしまい、マッドサイエンティスト眼帯娘のカタリナと、その妹である不死者のノラに拾われて、3人での共同生活が始まっていく。

 というわけで、不死者の物語なんだけど、だからといってバリバリ戦ったりとかすることはない。カタリナのアパートに居候することになったアミは、なぜか女装させられて、そのままのんびり日々を送る。本当にとくに何をやるわけでもなく、日常はだらだらと過ぎていく。「それじゃつまらん」と思うかもしれないけど、読んでみるとこれは案外面白いです。

 ぬるま湯的な日常はけっこう居心地良さげだし、何より時折アミが見せる優しい態度とかにドギマギしまくるカタリナがかわいい。絵に描いたような(描いてるんだけど)ツンデレっぷりが見てて楽しい。まあこの状態のまま行くのかは分らないけど、のんべんだらりとした感じのラブコメになってていいんじゃないでしょうか。

【単行本】「つばめ陽だまり少女紀行」 松本規之 徳間書店 A5 [bk1][Amzn]

 ニッポンの美しい風景を描き、そこで少女たちのちょっとしたエピソードを展開。特徴はとにかく絵が美しいこと。フルカラーで自然、そして少女たちを魅力的に描く。深みのある青、ピチピチした肌色、目の輝きなどなど、パッと目に飛び込んでくる美しさ。ただお話がいずれも弱いのは惜しいところ。ストーリーがほとんど印象に残らない。まあ美しい景色の中に、美少女たちがいる情景を眺めて楽しむといった感じでしょうか。その点においては満足感はある1冊だと思います。

 ところで重箱の隅つっつくようだけど、単行本表紙(画像はこのあたり参照)の左側にいる女の子の右腕が、肘から下がないように見えてしまうのはなんなんだろう。レイヤーを1枚保存し忘れたとかかな?

【単行本】「しかって!双子姉妹」 ゆきやなぎ ワニマガジン社 A5 [Amzn]

 表題作「しかって!双子姉妹」シリーズ全5話を中心に、全11本収録。「しかって!双子姉妹」は、主人公が隣に家に住んでる双子姉妹にモテモテでエッチをしまくり、さらにそこに母親に加わって……というエロコメディ。軽い内容ではあるけどハーレムラブコメとしてはわりといい感じで展開してて、気軽に楽しむことができる。この人の続きモノシリーズとしては、お話的にもかなり楽しい部類に入るのでは。

 「しかって!双子姉妹」シリーズは2006年〜2007年の作品だが、そのほかは203年〜2004年の作品が中心。絵的にはこのころにはすでに完成されていて、今とほとんど変わらない。ただゆきやなぎの場合、エロ度的には2003〜2004年のころのほうがむしろノッていた感があり、今でも十分使えるな〜という想いを新たにした。このむっちりした肉感、ボリューム感のある乳や尻、それでいながらキュッとしまった腰……とエロさがぷんぷん漂っている。個人的には、サークルの女子マネの娘さんが男子たちに輪姦され、エロ漬けになっていく「恋するマネージャー」が実用度的にはイチオシ。好きな人の目の前で犯されて感じてしまう、女の子さんの模様がエロっちいです。


10/27(土)10/28(日)……曲がり角の喉刈り鎌

【雑誌】コミックアライブ 12月号 メディアファクトリー B5平 [Amzn]

 石川マサキ「私立トアール学園2年☆組物語」。なんかいきなり終わっちゃったなあ。最後は8Pでブツッと終了だったけど、単行本2巻はちゃんと出るんでしょうか……。「魔法使いのたまごたち」も終わり方が唐突だったんでちと心配。國津武士「神ぷろ。」は、他人の内心を暴露する神器のせいでいろいろトラブルが。でも珍しく幼なじみっ娘の聖が報われてて、ちょっと心温まった。この作品に出てくる女の子の中では、好きなキャラです。巨乳だし。とはいえ國津武士キャラなので、もちろん貧乳も良いし、そちらが本領ではありますが。

 「ゼロの使い魔外伝 タバサの冒険」(作:ヤマグチノボル)が連載スタート。作画を担当するのは第1回アライブ新人賞で優秀賞を受賞した今拓人。タイトルどおり、青いショートカットのめがねっ娘、タバサを主人公にしたお話。個人的には、タバサはリアクションの薄いキャラなんで、ピンだとちと弱い感じがしなくもない。相方としてうまくからめるキャラを立てられると良いんですが。

 いけだたかし「ささめきこと」は毎回百合百合してて楽しい。今回は、クラスではカタブツで通っている蒼井さんが、実は少女小説の大ファンで、その作家さんの作品に詳しい村雨さん(実は作家さんとは個人的に縁がある)に接近してくる。それが元でちょっとしたトラブルが起きるのだが……。おともだちの輪が拡がってさらにドタバタしてて楽しいし、その間にも百合百合な恋愛模様も描いててええ感じです。

【雑誌】電撃コミックガオ! 12月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 作:竹宮ゆゆこ+画:倉藤倖「わたしたちの田村くん」。中学時代の同窓会に出席した田村くんだが、松澤さんが来ていないことで、不安な気持ちがさらに募る。そんな折りも折り、同窓会に相馬さんが押しかけてきて……という展開。次号は修羅場っぽいシーンもありますかねえ。まあとりあえずすっかり彼女気取りの相馬さんはカワイイです。

 作:有沢まみず+画:松沢まり「いぬかみっ!」。プールでのお仕事の後、パンツを忘れて、はかないままで帰途についたようこが、見えちゃいやしないかとドキドキするというお話。まあそんなことはやっているけど、ほのぼのした絵柄なので別にエロい感じにはならず。それよりも、ケイタとようこが仲良く連れ立っている様子に微笑ましいものがあって良かったです。二人一緒でうれしそうな顔のようこがええですね。

【雑誌】フラワーズ 12月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 岩本ナオが表紙を飾っていてなかなかいい感じ。今回の「町でうわさの天狗の子」では、天狗の娘である秋姫が、前から片想いしていた男の子・タケル君についに告白するが……ということで、お話としてはだいぶ盛り上がって来ている。甘酸っぱい青春模様が展開されていてええ感じです。キャラクターたちも皆、和む雰囲気を持っていて微笑ましい。秋姫とタケル君もいいけど、秋姫の様子を見てやきもきする、幼なじみの天狗見習い・瞬君がこれまたいいですな。

 第1話がものすごくヤオイ風味だった小玉ユキ「坂道のアポロン」だが、2話めもこれまた濃厚。都会から転校してきた優等生の西見と、クラスの番長的存在の千太郎。対照的ではあるがなんだか惹かれ合うもののある二人の様子が、早くも素敵オーラを出しまくっていてなんともたまらんものが。屋上で二人して雨に打たれてヌレスケとか、なんですかキミたちはこんな場所で……。これはけっこう威力ありますよ。

 あと今号では、読切の幸田テツ「スミレの毛布」も良かった。ラブラブだった彼氏が突然「別れよう」と切り出し、さらに沖縄に行くとか言い出してヒロインはパニックに。しかし彼のことがやっぱり大好きな彼女は、自分の想いを彼にまっすぐぶつける。まあ非常にシンプルなお話で、ちょいあっけないくらいではあるが、スッキリした画風とまっすぐ爽やかなお話作りには好感が持てる。

【雑誌】メロディ 12月号 白泉社 B5平 [Amzn]

 よしながふみ「大奥」は、初期大奥の過渡期を描く。家光が将軍としての器を見せるようになり、春日局が病に倒れる状況の中、どのように大奥が変わっていくか興味深い。それにしても有功は、ここに来て人間の出来たところを見せているなあ。さすが元坊さんといったところか。ここまでのフリからいって、もうちょっとぶちキレるのかと思ってましたが。

 中村明日美子の読切「曲がり角のボクら」は、学園祭のフォークダンスを前にして揺れる少年少女4人の気持ちを描いていくお話。片想いの連鎖状況が甘ずっぱく描かれていて、トキめいた。なお今号では、中村明日美子の少女漫画方面での作品集が2008年1月発売決定の告知もあり。ボーイズラブ方面だけでなく、少女漫画でもけっこういい作品を描いている人だけに、この単行本はけっこう楽しみ。

【雑誌】コーラス 12月号 集英社 B5平 [Amzn]

 佐野未央子「君のいない楽園」。八神が日本に帰国。ということで十萌はウキウキ、十萌えに片想い中の勘九郎はやきもき。まあこれからは十萌&八神が、ますますバカップルぶりを見せつけてくれるのではないかと期待。渡辺ペコ「ラウンダバウト」。今回は眞のおともだちで、地味なめがねっ娘の結(ゆいぽん)にスポットライトを当てたお話。ゆいぽんは普段は目立つことは全然ないけど、実はしっかりした乙女ゴコロの持ち主。その心持ちを丁寧に描いた内容は、なかなか読ませるものがあった。

 松田奈緒子「少女漫画」は最終回。デビューして5年経つがなかなか出世しない少女漫画家の主人公を中心に、その周辺の少女漫画家たちの姿を描いてお話を締めくくり。それぞれの想いを込めて漫画に関わっている、少女漫画家たちの姿にはちょっとグッとくるものがあり。ラストの締めにふさわしい内容で良かったと思う。

【アンソロジー】OPERA VOL.08 茜新社 A5平 [bk1][Amzn]

 今号では、初登場の佐藤まさこ「安西君と吉村君」がいいですね。縦3段×2列で正方形に近いコマを並べていく、4コマ漫画に似た形式の作品。小池田マヤっぽいスタイル。 絵のほうも4コマ調のシンプルなものだが、その中でサラリーマン2人のちょいラブっぽいお話を展開しており、なかなか楽しい。和む味わいがあるし、けっこうラブな雰囲気も出せていて、後味もよろし。

 中村明日美子「げに大人というものは」は、先日連載が終了した「同級生」シリーズの番外編。佐条くんを狙っていた原先生の学生時代の恋物語を描く。原先生が学生だったころにちょっとだけあった、白衣のめがね先生の姿がなかなか色っぽい。なおこの「同級生」シリーズはいったん連載は終わったけど、次号から「卒業生」とタイトルをかえて新シリーズが始まるそうな。

 宮沢草雨「働かない男」。部屋に引きこもってうだうだしているニート男が、かつて好きだったこともある同級生男子のことを思い出して、さめざめと泣く。なかなかユーモラスな作風でけっこう面白い。あとbasso「IL MIO LAVORO」「朝、夜、昼間」は相変わらずの安定感でしっかり良いです。


10/25(木)10/26(金)……四季荘沈着

【雑誌】アフタヌーン 12月号 講談社 B5平 [Amzn]

 今号では市川春子の読切「星の恋人」が良かった。叔父さんの家で一緒に暮らすことになった少年が、そこでつつじという名の少女と出会う。彼女に心惹かれる主人公だったが、叔父の口から語られた彼女の出自は、意外すぎるくらいに意外なもので……。市川春子は2006年10月号付属の「四季賞ポータブル」に掲載された「虫と歌」でも、風変わりな設定ながらしみじみした味わいのあるお話を作っていたが、今回の「星の恋人」もまた個性的な作品。楚々として品が良く、しっとりとした味わいのある絵も良い雰囲気を醸し出しているし、なかなか面白い才能といえる。今後もちょくちょく登場してもらいたい。

 神原則夫は久々の登場。「世界に羽ばたけ轟先生!」。50歳にしてちんこビンビン、世直しに燃える政治家のおっさん轟麦太郎と、彼の主張に感動した青年の物語。轟麦太郎の訴える政策は、「20歳で童貞の人には無料ソープ券を配布する」といった、実に具体的なものばかり。その志に男は勃ち、女は濡れる。飄々とくだらないことをやり続ける、神原則夫らしいキャラ、内容でじんわりした面白さ。シーズン増刊でやっていた「神原則夫の人生劇場」と併せて単行本化してくれるとうれしい。

 巻頭カラーでは、樹なつみの新連載「ヴァムピール」が開始。1分というごく短時間ではあるが心停止で死亡した後、蘇生した主人公が、それを境に霊的なものが見える体質になってしまう。それによってトラブルに巻き込まれていくことになるが……という出だし。まだお話の大枠は示されてないけど、まあなんとなく雰囲気はつかめたし、滑り出しとしては悪くないか。

 あと連載陣で最近けっこう気になってるのが吉永龍太「チノミ」。矢島亡き後、その死の謎を追うユーイチは、チノミに関わる謎の深みにどんどん足を踏み入れていく。なんだか底なしの血の沼に足をずぶずぶ突っ込んでいくような感覚があって、たいへんに不気味。どんどん猟奇的な色合いが強まってきた。アクの強い絵柄もお話の内容にマッチしているし、刺激的な作品だと思う。当たれば大きそうな作品で(売上的に、という意味ではなくあくまで個人的に)、けっこう期待してます。あと平本アキラ「俺と悪魔のブルーズ」も盛り上がってて面白いです。

【雑誌】月刊IKKI 12月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 相原コージ&竹熊健太郎「サルまん2.0」が開始。年をとりすっかり落ちぶれた相原&竹熊は、大手編集に相手にしてもらえず、どさ回り仕事で食いつなぐ日々。「とんち番長」が別の作者の手でリメイクされるも、それも長続きはせず。ここから一発逆転する方法なんてあるんですかいのう。というわけで続きがどうなるか、とても楽しみ。漫画業界うんちくネタも健在だし、やっぱ面白いです。

 あと青野春秋「まだ俺は本気を出してないだけ」も、中年で漫画持ち込みやってるという点では共通。まあこちらはスタート地点にも立ってない感じだけど、その分まだ気楽なところもあるか。今回もシズオは、女性編集の態度にいろいろ勘違いして、オヤジらしいふてぶてしさとダメさ加減を発揮。いつもながらしょうもなくて面白い。良い味を出しております。

 新連載、細野不二彦「ワイヤードマンション」。ネットにまつわる綺譚を描いていくオムニバス形式のお話のようだが、第1話の主人公は38歳でマンションの一室に引きこもっている男。なんだかダメなおっさんの話がやけに多いな今号は。読切の下乃一倖「グッドモーニングおやじ」もおっさん話だが、こちらは子供たちのために、横断歩道の誘導を頑張っているいいおっさんを描いている。でもまあ「夜回り先生」もあるし、雑誌全体におっさん濃度がやけに高かったことは確かです。

【雑誌】アックス Vol.59 青林工藝舎 A5平 [bk1][Amzn]

 今号の特集は川崎タカオ。スージー甘金×本秀康×川崎タカオの鼎談も収録されている。

 花輪和一「六富道」。あー、やっぱり花輪和一の描くなんだかてらてらぎらぎらした、人間とも宇宙人ともつかないようなヘンなキャラはいい。今回は平安モノで、アリを食べる宗教にハマっている女どもが、アリの住む世界に引きずりこまれるという物語。その女どもを導くのが、つるつるした皮膚をしたヘンな生き物なのだが、この不気味だけど妙に愛敬のあるフォルムに惚れる。

 藤枝奈己絵「夢色お兄ちゃん」。世捨て人のようでいながらやたらポジティブであるお兄ちゃんに対して、妹の文子はとにかくやる気がなくて居眠りしてばかり。その面倒くさがりぶりを、今回は追求してみようという回。無計画に面倒くさがっている文子とはまた違った、理詰めで面倒を避けているあんちゃんとかが出てきて、なかなか面白かった。この手の役に立たない下らない理屈には惹かれるものがある。

【雑誌】月刊少年シリウス 12月号 講談社 B5平 [Amzn]

 今号は「恋想彼女」と題して、女の子をかわいく描く人たちをいろいろ登用。カラーイラストが多数掲載されてるほか、漫画のほうでまず登場したのが、瓦敬助「菜々子さん的な日常」だったのはちょっと驚いた(まあ次号予告ちゃんと見て覚えてれば驚くこともないんでしょうけれども)。エロ漫画誌で現在連載中の作品を、そのまま出張させてくるとは……。エロ度が強い作品ではないから問題はないだろうけど。ちなみにノリ的にはエロ系のほうでやってるときとまったく一緒です。

 さらにそれに続けて掲載されたのがうさくんでまたびっくり。「きづいてよ!!花菜ちゃん」は思い込みが強すぎで、一目惚れした少年に露骨なアプローチを繰り返す、ちょいイタい女の子・花菜ちゃんを描いたコメディ。ちゃんとここでもぱんつとか入浴シーンを見せ、しょうもないギャグもやっている。うさくん大好き人間にとってはやはり見逃せない。

 近藤るるる「九夏休息」。サラリーマンが宮崎出張中にホッと一息。現地の売店でかき氷を売っている少女に癒される。ぷくぷく肉付きのよろしい健康的な娘さんがなかなかかわいい。乳もふくよか。松本レオ「水遊び」は、元気者の水泳部女子先輩の笑顔がいい感じで輝いております。このほか「恋想彼女」シリーズでは、大島永遠、別天荒人、ミサキ糖、村枝賢一らの作品を掲載。

 田中ほさな「乱飛乱外」。今回から海賊王女編。というわけで海賊のお姫様とお近づきになるというお話。これまでは新しい姫様が登場→殿に惚れるというパターンで進めてきたが、今度のお姫様はいかにも女豹って感じで、そう簡単に惚れてきそうには見えない。でも逆にいったん惚れると情が濃そうだし、姐さん女房タイプで攻めてくることもあるかな?

【雑誌】コミックガム 12月号 ワニブックス B5平 [Amzn]

 作・構成:涼元悠一+画:ヒライユキオ「せな★せな」がスタート。「せなか:オタロードBlog」から生まれた作品だそうで、キャラデザインはいとうのいぢ、ごとP、駒都えーじと豪華。ただ、うーん、正直絵がいまいちに思えるんだけど……。キャラデザに作画が追いついてなくてもったいなく感じてしまう。この手の萌え系漫画だとやっぱり絵力はもう少し欲しいかな。

 ぢたま(某)「ファイト一発!充電ちゃん!!」は、引き続き閃登がモテモテモード全開。妹の親友で、閃登のことを好いてる依緒乃が、閃登から妹扱いされてふさぎ込む。ぷらぐとしては本来、へこんでいる依緒乃に充電しなくちゃいけないところなのだが、内心閃登に惹かれているぷらぐはそれをためらってしまう。女の子二人の乙女ゴコロがどっちも切なくて、いい感じでラブストーリーを展開している。元はといえば閃登がニブいのがいけなかったりはするのだが、ここからどう落とし前をつけていくのか気になるところ。

 かかし朝浩「暴れん坊少納言」。今回は紫式部がメインの回で、清少納言のほうはほとんど出番なし。彰子にお勉強させるべく思案する式部だったが、自身が天才であるがゆえに、勉強嫌いな明子に勉強させるいい方法が思い浮かばず。しかしそれを権佐が陰ながらサポートし、こっちはこっちでちょいといいムードを醸し出してて楽しいものがある。パニックアタック「大人になる呪文」。今日も今日とてお兄ちゃんは妹をいじる。今回使ったおどうぐはアイスキャンデー。エロっぽいおしゃぶりシーンはサービスたっぷり。まあ相変わらずくだらないけど、未由はかわいいからいいです。

【雑誌】漫画ゴラクネクスター 12月号 日本文芸社 B5中

 山松ゆうきち「インドへ馬鹿がやって来た」が最終回。山松ゆうきち自身が単身インドに乗り込んでいって漫画を出版して売ろうとするという内容だったが、とにかくやってることが恐ろしく無謀で面白かった。まず山松ゆうきちがインドの言葉をほとんど喋れない。さらに現地の出版事情についての知識も皆無。さらに持っていった作品が、よりにもよって平田弘史の「血だるま剣法」とくる。「血だるま剣法」は日本人にとってさえ敷居が高いですよ……。案の定結果は散々どころの話じゃなかったようだけど、作者の闇雲な行動力にはちょっと感心してしまったりもした。まさにタイトルどおりの作品だったといえる。

 由起二賢「サザンクロスの誘惑」。これまでは比較的平和に運行していた捕鯨船だったが、今回はそれが急変。黒マスクの殺人者が現れ、乗組員たちを惨殺する。これはいったいどうなってしまうんだろうか。続きが気になるところ。あとむちゃくちゃ濃い作画、作劇も引き続き気になる。単行本が出るかどうかまで気になってきた……。

【雑誌】少年エース 12月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 創刊13周年超特大号とのこと。たいへん分厚くて読みづらい……。貞本義行「新世紀エヴァンゲリオン」は連載再開。まあまたしばらくしたら止まるんでしょうけれども……。内容的には、ゼーレの兵隊がネルフに攻め込んで来て、ネルフの人たちがバリバリ虐殺されているあたり。

 新連載、かなりあ由歌「四季荘ちゃちゃちゃ!」が開始。エースアサルトの新人バトルで1位となった作品。かつてはデブ・地味・ネクラとばかにされてきた主人公・健太が、頑張ってダイエットしてファッションも磨いて生まれ変わり、高校入学を機に一人暮らしを開始。ところがそのアパートのほかの住人たちは、揃いも揃って変わり者の女の子ばかりで……というドタバタコメディ。たぶんだんだん健太が住民たちと打ち解けていき、モテるようになっていくんでしょう。まあまあ華やかで、この手の作品としては無難な滑り出しか。

 ぷよ「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」。4コマハルヒだけど、けっこうほのぼのしてて面白いと思う。ちょっとデフォルメをきかせすぎて、ときどきキャラの見分けがつきにくかったりすることもありますが、絵がかわいくてほのぼのしてて楽しいです。

【雑誌】ガンダムエース 12月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 今号は安彦良和「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」がお休み。筆のやたら早い安彦良和にしてはちょっと珍しい。その代わりに今回はインタビューが掲載されている。次は「ララァ編」をやって、いちおう20巻で完結する予定といってるけど、本当にそれで収まるんですかねえ。まあ戦闘シーンをそんなにだらだらやらなきゃなんとかなるかな?

 大和田秀樹「隊長のザクさん」は最終回。最後はザクさんが戦場でカッコイイところを見せた後、皆に囲まれてきれいにしめくくり。たいへんいい人(MS)であるザクさんのキャラが好ましく、楽しく読める作品だった。徳光康之「妹ガンダム」も最終回。留二亜、奈打がジオンに賭ける熱い想いを見せつけていていい感じだったと思う。ラストにはあのキャラまで登場。オチもついてキッチリ終わった。


10/23(火)10/24(水)……蒲団と密書ん

【雑誌】LaLa 12月号 白泉社 B5平 [Amzn]

 森生まさみの読切「きゃらめるBoy」。ヒロインであるもとかという女子が、隣家の育児手伝いをすることになって、久しぶりにそのおうちに行ったところ、そのうちの上の息子さんと対面。幼なじみで弟分的存在だった彼は、ちっちゃかったころにTVCMに出て「キャラメルBoy」として話題になったほどのかわいい少年。しかし小学6年生になった彼はすっかり小生意気なガキに育っており、もとかは手を焼かされるが……。まあ要するに、好きな娘にはついイタズラしちゃう的心理ですな。そんなこともありまして、全体としてはスウィートなラブコメに仕上がっている。予定調和ともいえるけど、そのぶん安心してラブラブ気分を楽しめる作品になっている。ここらへんはさすがにうまいです。

 藤方まゆ「ああ愛しの番長さま」連載再開。普段はかわいいけどブチ切れると最強化するため、周囲から番長として祭り上げられている女の子と、その補佐をやってる副番長の学園ラブラブストーリー。明るくノリの良い作風でドタバタラブコメやっててけっこう楽しい。勢いがあってベタベタしすぎないところもいいです。

【単行本】「FRONT MISSION DOG LIFE&DOG STYLE」1巻 作:太田垣康男+画:C.H.LINE スクウェア・エニックス B6 [bk1][Amzn]

 太田垣康男が原作だが、C.H.LINEの作画も太田垣康男とほとんど同じようなテイスト。ゴツくて力強くてアツさ、男くささを備えている。お話のほうは、大国が新兵器をふんだんに投入する「兵器実験場」ともいうべき島で繰り広げられる悲惨な戦争の様子を、リアルっぽく描き出していくというもの。人型メカなども出てくる近未来戦争ながら、「ゲーム感覚」といった感じはかけらもなく、人が戦場の狂気に煽られて、むごたらしい殺戮を繰り返す様子をありありと描き出す。力強い作画のおかげもあって迫力満点。骨太な内容で読みごたえのある作品に仕上がっている。

【単行本】「大江戸ロケット」1巻 作:中島かずき+画:浜名海 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 アニメ化もされた「劇団☆新感線」の舞台をマンガ化した作品。アニメのほうはコミカルなタッチが特徴だったが、こちらはちょっと木葉功一に似た感じの大人っぽい雰囲気のある画風で、アニメとはだいぶ違った印象を受ける。筋立てのほうは、天から降りてきた美女・ソラが花火職人の清吉と出会うところから始まり、清吉をはじめとする職人たちが、彼女のために月まで届く打上花火を作ろうとする……ということで大枠は共通。ただ、細部のディティールはちょこちょこ異なっている部分がある(舞台のほうは知らないので細かい部分の異同までは分からないけれども)。

 で、漫画単体での出来がどうかというと、これはよく出来てるんじゃないかと思う。達者な絵柄は鮮烈な印象があるし、清吉や弟の駿平も魅力的に描けている。キャラがイキイキしているので、今後人情味を感じさせる演出にも期待ができそう。アクションシーンもなかなかのもの。とくに花火の打上シーンは爽快感がある。お話のほうはまだ序盤だが、読者をしっかり引き込むだけのものは持っている。漫画版だけ単体で読んでもけっこう楽しめるんじゃないでしょうか。

【単行本】「GIANT KILLING」3巻 作:綱本将也+画:ツジトモ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も面白い。リーグ戦開幕を控え、プレシーズンマッチの様子と、開幕前のカンファレンスの様子を描く。プレシーズンマッチのほうは手に汗握る展開で推移し、最後の最後で役者が試合をヒートアップさせてくれた。カンファレンスで達海が他チームに挑戦状を叩きつける様子も痛快。豊富なサッカー知識に裏打ちされているだけでなく、アツさもあるし、漫画としての見せ方も小気味良い。サッカー漫画では今一番面白いと思う。毎週楽しみにしている。

【単行本】「capeta」14巻 曽田正人 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 発売は7月だけど今頃ようやく読んだ。この巻になるとカペタがステップアップしていって、大きく先を行っていたナオミにだんだん追いついてきた。それに伴ってお話のほうもだいぶ面白くなってきてると思う。少年時代は、カペタの天才性が「マシン面での不利をカバーする」という方向で発揮されてきたけど、周辺の環境が整ったことで、より高いレベルで才能が発揮できるようになった。要するにマイナスを0あるいはちょっとプラスにするのではなく、プラスをさらなる大きなプラスに変えるという段階に変わったわけで、よりカペタの凄みが感じられるようになってきたと思う。凄いヤツが凄い結果を残す姿はやはり痛快。あとそんな中でカペタの持つ、才能とは裏返しの危うさなどにも触れつつあり、緊張感も高まっている。というわけで次の展開も楽しみです。

【単行本】「言葉だけじゃたりない」 春風道人 コアマガジン A5 [Amzn]

 以前はつるぺた系のエロが目立っていた春風道人だが、最近では巨乳系も積極的にこなすようになってきて、巨乳好きな自分としてはヒット率が上がった。収録作品の中ではとくに「お姉ちゃん禁止令」が好き。やたら姉の体を求めてくるようになった弟に対して、エッチを禁止したら、今度はお姉ちゃんが欲求不満になって耐えられなくなりおねだりしてしまう……という内容。豊満なおっぱいが個人的にはグッとくるし、焦らして焦らしてその分より大きな悦楽に結びつけるという持って行き方も好き。突きまくられて喘ぎまくるお姉ちゃんの様子がエロっちくて、個人的なツボにハマりました。

【単行本】「やればできる子」 EB110SS 茜新社 A5 [Amzn]

 いつもながらのロリ漫画。ぶっ飛んだ設定の作品はなく、いかにもそこらへんにいそうな娘さんたちがしっかりエロい目に遭うのが特徴。現実と地続きな領域でのロリを描こうとしているところがエロさを醸し出している。作者コメントによるとLOでは明るい作品は描かないようにしたとのことだけど、これはより「リアルに近い雰囲気」を出そうとしたとのこと。「リアル」ではなく「リアルに近い」ってとこがポイントですな。リアルっぽいけどファンタジーも入ってる。あと女の子たちがさほどヒドい目に遭うことがなく、個人的には安心して読めます。インモラルではあれど非道ではないのがいいです。

【単行本】「Dogwalker」 高岡基文 ヒット出版社 A5 [Amzn]

 美少女陰陽師の鳴美が化物退治をしていく過程で、エロい目に遭ったりする妖怪ハンター系のエロ漫画。鳴美が巨乳美少女であるのに加え、ロリッ娘式神の加耶も使役。おっきいのも小さいのも楽しめるという構成。それで化物退治をしようとするが、逆に犯されそうになったり、実際に犯されたりしてしまう。後半ではさらに、鳴美と恋仲っぽくなってエッチもするように男子生徒と、この男子生徒に執着する姉も登場し、さらにヤリまくりんぐ状態に。まあこの手のお話としては非常によくあるパターンで、物語面の弱さについても相変わらず。とはいえ、高岡基文らしいばいんばいんな肉体描写はエロっちいし、触手・輪姦いろいろあって、その手のモノが好きな人には手堅く使える一品。


10/21(日)10/22(月)……周囲取り潰す

【雑誌】コミックハイ! 12月号 双葉社 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 石田敦子「魔法少年マジョーリアン」。なんだか忙しい展開ですなあ。イオリがノリノリ少年になってモテモテ化したと思ったら、今度はマサルのほうも変化。ちと画面的にもガチャガチャした感じはあるけど、お話としてはけっこう盛り上がってて先の展開が気になるところ。これはいったいどう着地させるんですかのう。イオリにしろマサルにしろ、スパッと前向きになるのはなかなか難しそうな気がしますが。

 アワーズプラスで「かぶりもんスター☆」を描いていた天野シロが初登場。読切「極悪マミー」。母親が悪の組織で女ボスをやっているのを見て、彼女をなんとかしようと政府の取締期間「正義の味方庁」を志望した娘。親子の情的なものもチラリと盛り込みつつ、ドタバタコメディを展開。スッキリした好感の持てる絵柄で、まとまりの良いお話を描いている。たださらにステップアップするには、もう一つなんかウリが欲しいような気もする。作画レベルは十分なものがあるんで、うまいこと伸びていってほしい。

 鈴菌カリオもコミックハイ!初登場。「放課後(写)ガールズ」。写真部の部室に集まって、放課後をだらだら過ごしている女の子たちを描いたコメディ。クセはけっこうあるけどエネルギッシュな作風は、IKKI掲載「乙女ウイルス」でも知られるとおり。合う合わないはありそうな作風だけど、勢いは買えると思う。西野美和子「冬のメガネ」。バスの中で一緒になった、めがねっ娘とクラスメート男子の微笑ましい触れ合いを描く。二人のやりとりが初々しくて、まずまず楽しい一作。

【単行本】「岳」5巻 石塚真一 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 増刊号からビッグコミックオリジナル本誌のほうに移っても、安定感は変わらず、引き続きいいお話を描いている。この巻ではとくに、三歩が初めて山で人が死ぬのを目の前で見た「救助士」前後編のエピソードが印象に残る。山に登る人たちを包み込む、三歩の原点がここにあるんだなあとしみじみさせられる。あとこの作品を読んでて思うのが、これだけ人の生き死にを描いているにも関わらず、「自然を守ろう」だの「ちゃんと計画立ててから登ろう」だの説教くさくならないのがいい。登山者各人が、自分に合ったやり方で山と接すれば良いという、懐の深さが好ましい。まあきちんと啓発するのも重要だってのは分かってるんですけどね。

【単行本】「ファンブル5」 桝田道也 SBCr B6 [bk1][Amzn]

 「浅倉家騒動記」の桝田道也の最新刊。パッと見はゲーム系の漫画に見えるが、別にそうではなく、毎回お題を変えつつギャグを連発。「浅倉家騒動記」は、けっこうヒネリの効いたギャグが面白かったが、こちらもなかなかのもの。知的なギャグをノリ良く連発してきて面白い。絵柄のほうは「浅倉家騒動記」のときよりだいぶコミカルな、かわいいモノにしてきており、親しみやすくなったといえるのでは。現在はYahoo!コミックでやってるらしいけど、ギャグの才能ある人というのは貴重なんで、紙媒体のほうでも活躍の場が増えればなあと思います。

【単行本】「キミキス 〜スウィートリップス〜」1巻 糸杉柾宏 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 各所で展開中の「キミキス」漫画版の一つ。1話完結で各ヒロインのお話を描いていくという形式になっている。ヤングアニマルの東雲太郎は、1巻で1ヒロインって感じなので密度は濃いが、各ヒロインのパーソナリティを手っ取り早く把握したい人にとっては、1話で分かる糸杉版のほうが効率的。ゲームのほうをやってない人間にとっては、これはこれでありがたい。お話のほうも、1話完結ラブコメとしてそれぞれ楽しめるし。

【単行本】「ブロッケンブラッドII」 塩野干支郎次 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻でも、ドイツ系三世の少年・守流津健一くんは、女装させられて人気アイドル・ノイシュバンシュタイン桜子として大活躍中。魔女っ子ヒロインに変身できるという設定はだんだん適当になり、いかに健一くん(桜子)にプリチーな格好をさせるか、それをどういじくるかがメインになってきた。まあどっちかっていうと、魔女っ子コスよりその他のコスのほうがかわいいと思うので、変身はとくにしなくてもOKです。あとそんな健一くんに萌え萌えしている周囲のメンツの反応も見てて楽しい。なお第3部はヤングキングにて2008年初頭からスタート予定だとか。

【単行本】「ケンコー全裸系水泳部ウミショー」7巻 はっとりみつる 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 いつもながらけたたましいノリでサービス旺盛で楽しい。健康的なお色気を大量にまきちらし、明るく楽しく元気良く。あまりにも賑やかすぎるので、少年マガジンコミックスサイズでは若干読みづらいところはあったりするものの、とにかくこのムチャなほどの勢いはこの人ならではだし、安定してこの調子だってのは凄いことだと思う。

【単行本】「ヨルムンガンド」3巻 高橋慶太郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も面白かった。女武器商人ココ・ヘクマティアルと、彼女の手下たちが繰り広げるガンアクション。アクションシーンが派手で痛快なのもいいが、日常シーンもキレが良くて小気味良い。何より良いのが登場人物たちが見てて面白いこと。物騒なわりに明るく快活なココのキャラがまず魅力的だし、少年兵のヨナや、ココのことが好きで好きでたまらない女兵士のバルメなんかも楽しいキャラ。

 そういえば単行本読んでて思ったけど、重要なキャラの名前を表記するさいに、ときどき太字にしてくれてるのはなかなか良い配慮。やっぱキャラの名前を印象づけるって重要だから。サンデーGXを確認してみたところ、ほかの作品ではやってないみたいだから、高橋慶太郎もしくは担当さんが意識的に指定してるのかな?

【単行本】「ベクター・ケースファイル」2巻 作:藤見泰高+画:カミムラ晋作 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 虫大好き女子高生・稲穂が、虫にまつわる事件をズバッと解決していくというシリーズ。「ベクター」とは、日本では衛生面で害虫となり得る虫を総称して用いられることの多い言葉で、身近に存在する昆虫が引き起こす事件を描いている。まあそんなわけで虫に関する知識はいろいろ盛り込んでいるが、お色気描写もやけに多くて、それも本作のお楽しみの大きな部分を占めている。知識と煩悩がともにたっぷりなところが面白い作品。

【単行本】「突攻!メイドサンダー」2巻 やぎさわ景一 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 特攻服着用のメイドさん・サンダー摩騎を中心に、ドタバタ日常ギャグを展開。賑やかなキャラたちが、毎回下らないお話を展開していて楽しい。メイドをネタにしており、一見オタク的要素が強そうに見えるが、あまりパロディネタとかに走ることなくキャラのアクション、ドタバタで笑わせてくれるのが個人的にはうれしい。ニヤリって感じではなく、カラッと楽しめるのがいいですね。


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